【胆振東部地震特集その1】北、東、白石は要警戒 札幌市全区“液状化危険度マップ”

 胆振東部地震によって、札幌市清田区里塚では大規模な液状化現象が発生した。液状化とは、地震によって地盤が液体状になり、その上に乗っている建物が沈んで傾いたり、道路が波打つように壊れてしまうことを言う。

 里塚地区は、宅地として造成される際、山間の谷とそこに流れる川に対して、両側の山を切りして谷を埋めて川を暗渠としていた。この際、盛り土として主に使われたのが火山灰だったとされる。その後、時を経て今回の地震前日に通過した台風の影響で地盤が大量の水を含み、そこを震度5強の揺れが襲った。

 市のまとめではこの地区だけで120棟が全半壊したほか、広範囲にわたり道路が陥没、ひび割れるなどの被害が出た。地震後は地盤改良などの復旧工事が続けられ、ようやく来年3月に作業が完了する見込みとなっている。

 さて、この液状化現象が発生しやすい条件は3つある。1つ目は砂地盤であること。2つ目はまだよく締め固まっていないこと。3つ目は地下水位が高いことだ。

 北海道大学大学院工学研究院の磯部公一准教授は「被害の大きいところは谷に盛り土をした造成地です。なのでもともと地下水が集まりやすい。その盛り土には支笏軽石流堆積物という火山灰質土が使われたと思われます。これも一般的に液状化しやすい材料とされているものです」と話す。

 清田区では2003年の十勝沖地震でも液状化が発生している。このときも火山灰を使用し、もともと沢地だったところを盛り土したことが、原因の一つだったと指摘されていた。

東15丁目屯田通の陥没(地下鉄東豊線元町駅付近・2018年9月撮影) ©財界さっぽろ

 さらに今回の地震で4キロメートルに渡り陥没した東区の東15丁目屯田通も、液状化したと見られている。この道の真下を通る地下鉄東豊線は10メートルほど地面を掘る開削工法でつくられた。

 建設工事では線路や駅が入った鉄筋コンクリートの箱を地中に埋め、その上に買ってきた砂をかぶせ、表面をアスファルトで舗装したという。

 つまり、東区は基本的に泥炭地だが、この部分だけ砂地盤になっていたことになる。もともと地下水位もかなり高い。東区の陥没カ所も液状化しやすい場所だったと言える。

 以下「液状化危険度マップ」は札幌市が公表しているものを引用した。北区、東区、白石区は「可能性が高い」赤色に大部分が覆われている。逆に豊平区、中央区、南区は比較的「可能性が低い」部分が多い。液状化は今回のように震源から遠い場所でも起きる。地盤改良や、杭基礎導入などの判断材料にしていただきたい。

北区・東区版 ©財界さっぽろ

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白石区・厚別区版 ©財界さっぽろ

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西区・手稲区版 ©財界さっぽろ

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豊平区・清田区版 ©財界さっぽろ

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中央区・南区版 ©財界さっぽろ

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液状化危険度図を含む地震防災マップ各種(札幌市Webサイトへ)

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