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アンドセイス

2017年に狸小路6丁目にオープンした「せいす」

狸小路に飲食店7店舗を展開する急成長の企業

 飲食店の企画・運営を手掛ける「アンドセイス」は、2015年に狸小路1丁目に「Oyster Bar SALT MODERATE」の出店を皮切りに、狸小路エリアに特化して飲食店を続々と出店。現在は7店舗を展開している。

 同社の出店スタイルは、物件ありきでそこに合わせた業態を展開するというもの。梶原剛社長が物件の立地や専有面積、近隣店舗の業態、狸小路1~7丁目ごとの客層を分析するなど、緻密なマーケティングを実施。

 居酒屋、立ち飲み、バーなど、地元民をターゲットに多様な業種を展開しているため、自社店舗での来店客の食い合いがないことも特徴で、各店舗のリピーターは4割にも上る。

 2店目の出店となる「せいす」(狸小路6丁目)は、近隣店舗にはなかった〝日本酒と銀シャリ〟にこだわった店だ。

 梶原社長は「おいしくて食べ慣れた料理を提供し、誰もが落ち着いて楽しめる店を目指しました」と語る。

 食材をはじめ、器や料理の盛り付け方へのこだわりのほか、大きなのれんを掲げるなど、店舗デザインにも注力。高級過ぎず、大衆的過ぎない絶妙な雰囲気がヒットし、初月から月間1000万円超を売り上げる同社一の繁盛店をつくりあげた。

「〝この業態なら成功する〟という感覚は、独立前の東京での経験が生きています。自分の中に蓄積された〝成功と失敗のセオリー〟を用いて、戦略を立てています」と梶原社長は語る。

 また、店舗の世界観にもこだわり、特に〝どこか懐かしい雰囲気〟を重視している。その理由を「私自身が小樽出身だからです。町並みがレトロでどこか哀愁を感じることから、それがルーツになっています。この世界観を再現できる場所が、大通でもススキノでもないノスタルジックな雰囲気が漂う狸小路商店街であると考え、同エリアに特化して出店しています」と梶原社長は語る。

 特にバー「唄・呑・集 ルマンド」(7丁目)は、梶原社長が幼少期に通っていた喫茶店の雰囲気と世界観を再現したもので、最高傑作と自負する店舗だ。

 一方、年明けには運営する「さっぽろ酒呑 純情」(6丁目)の隣に、同社では初の牛タン専門店を出店予定だ。

 梶原社長は「コロナ禍を機に飲食業界から人材が離れ、現在も戻っていません。新店をはじめ既存店舗もさらに盛り上げていくことで、人材を呼び戻して札幌の飲食業の活性化を図りたい」と先を見据える。

名物メニューの「もろこしボックス」
梶原剛社長
昨年5月にオープンした「愛とへいわ」
制服が特徴的な「ニュー花園」
昭和の空気感が漂う「ルマンド」