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ティーアール

2023年に先端ベンディングマシンを導入。効率化と品質向上に成功している

加工精度向上と工程の〝見える化〟に成功

「板金加工業は、製造業の中でも特に競争が激しく、多様な製品と多くの工程が存在するため、生産プロセスの効率化が重要課題です」と話すのは「ティーアール」の徳家義従社長。

 同社は、屋根・外壁工事全般や板金資材販売が主事業だ。主に漁港施設や学校、大型商業施設など、年間で60案件程をコンスタントに手掛け、屋根・外壁の施工面積は4万平方㍍に及ぶ。前身企業である「トクイエルーフ」から数え、30年余りにわたって成長を続けてきた。

 近年は〝デジタル板金工場〟の実現に注力している。その一例が金属を曲げ加工する最新鋭「ベンディングマシン」の導入。金属加工機械製造の国内大手アマダ(本社・神奈川県)社製で、加工プログラムを容易に作成できるタッチパネル式IoT機能を搭載している。オペレーターの経験や習熟度にかかわらず、高精度な曲げ加工ができるのが特徴だ。

 加工スピードと精度も格段に向上したうえ、リアルタイムで進捗管理や正確な実績工数の把握などが専用アプリ上で簡易に確認・共有できる。

 こうしたトレーサビリティーの導入による生産プロセスの〝見える化〟は、IOS9001に準じた高レベルな品質マネジメントにもつながった。取り引き先へは、根拠を明確に示せる適正金額での見積り提出も可能となり、さらなる信頼獲得にも成功している。

 徳家社長は「板金加工業界は、デジタル技術を最大限に活用して生産性を向上してコストを削減し、顧客ニーズに迅速に対応する力を強化する必要があります。デジタル化は深刻な人手不足を補う鍵ともなり得ます」と語る。

 一方、神社や寺院などに用いられる「一文字葺き」や「菱葺き」などの伝統技術やノウハウの継承にも積極的だ。

「特殊な技術のため、職人の技や経験が重要な役割を果たす分野ですが、施工できる技術者が年々少なくなってきており、若い世代の育成と伝承が急務です」と徳家社長。

 同社では社内、社外を問わず技能者に対し実技指導を行うなど、次代の職人の育成に注力している。 

 このほか、高い防水性が得られる屋根の「金属防水」にも定評がある。10月からは防水技術と板金加工技術を応用して、農業用貯水槽の製作にも着手した。

「業界の発展のためにも、さまざまな事業を展開して技術力の向上を図りたい」と徳家社長。

 

タッチパネル式で操作も簡易
徳家義従社長
10月からは農業用貯水槽の製作もスタート。着々と事業が拡大している