ティーアール
伝統技術の継承とともに先端テクノロジーも導入
「ティーアール」は道内全域で建物の屋根・外壁の板金工事から、板金資材販売を手掛ける。前身である「トクイエルーフ」から34年にわたり〝北海道の板金〟とともに歩んできた。
現在は学校や大型商業施設、漁港をメーンに年間60以上の案件を担っており、面積にすると約4万平方㍍を施工している。
日本伝統技術を得意としており、その一例が「菱葺き」。正方形の鉄板の4辺をそれぞれ折り曲げ、1枚ずつ菱形に組み合わせながら屋根や外壁に取り付ける工法だ。水が侵入しにくいのが特徴で、錆にも強く雪国には最適な工法と言われる。
徳家義従社長は「積雪寒冷地である北海道の建造物は、雪害に強いことが求められ、特殊な板金技術が必要です。しかし、菱葺きなどの伝統技術を持つ職人は、年々少なくなってきている。貴重な技術をつないでいくことも我々の役割だと考えています」と話す。
また「一文字葺き」も得意技術の1つ。同工法は、平板の屋根面が水平方向に一直線になるように葺くものだ。こうした技術は神社や寺院、洋館などの歴史的建造物の屋根や壁に多く用いられており、昔ながらのデザインだが高度な施工技術が必要とされる。経験豊富な建築板金技能士を数多く有する同社では、伝統技術で重要文化財も数多く手掛けてきた。
一方で、徳家社長は「技術の継承だけでは発展がありません。これと同時に先端テクノロジーやデジタルと〝融合〟していく必要があります」とも語る。
この言葉通り、昨年には金属を折り曲げる「ベンディングマシン」を導入。金属加工機械製造の国内大手アマダ(本社・神奈川県)社製の最新鋭機だ。
加工プログラムは容易に作成できる。タッチパネル式IoT機能が搭載されており、オペレーターの経験や習熟度を問わず、簡単に高精度な曲げ加工が可能だ。マシンの導入によって、加工スピードと精度が格段に向上し、多様化する顧客ニーズにフットワーク良く応えている。
「効率化と品質向上の双方を一気に実現しました。安全性も高いため、女性従業員も扱いやすい。今後も新技術を積極的に取り入れていきます」と徳家社長。