セーフティーステップ
道内足場業界の雄。選ばれるための2つの戦略
半導体工場の建設等の特需はあるものの、物価高や人手不足など水面下では厳しい状況が続いている道内建設業界。
こうした状況下、クサビ式足場の道内大手「セーフティーステップ」は、2つの〝選ばれる戦略〟で生き残りを図っている。
1つ目は、足場業者としユーザーから選ばれることだ。
創業当時から〝電話一本で安心安全で使い易い足場を提供する〟というコンセプトが支持され、今や年間施工実績は8000棟を超える規模に成長している。
これを可能にしているのが、日本でも有数の規模を誇る石狩機材センターの存在だ。2015年に規模を同社従来比で4倍にまで拡張し、足場資材も増強。施工能力を年々アップしてきた。
元々、戸建ての新築やリフォーム現場を主にしてきたが、この規模拡大がビルや大規模施設の現場を増やす足掛かりとなった。ゼネコンや大手建設会社の開拓につながり大きな成長要因となっている。
加えて、専任の営業担当を設け顧客窓口をワンストップ化したのも頼みやすい足場業者を具現化している。
そして2つ目の選ばれる戦略は、中長期の成長の鍵となる人材確保だ。
とくに、建設業界では職人不足が深刻で存続に関わる事態といっても過言ではない。同社では3年前より人材開発課を設置し、高卒者を中心に採用を増やし職人として育成を強化している。22年に1人、23年3人、24年16人と順調に増えており、退職者がゼロだというのも特筆に値する。
人材開発課の春木浩二課長代理は「福利厚生の強化はもちろん、当社の歩みや足場業界での位置づけ、グループを含む本州展開など、今後の発展性を理解してもらうのが大事です」と話す。
こうした若手社員の確保は同社の潜在成長力そのものと言えるだろう。
一方で、現在は道内外にグループを含め7拠点を展開している同社だが、今後はさらに拡大していく考えだ。運営データの統合システムをクラウド化するなど、バックグラウンドでの準備も並行して進めている。
「DXによる業務の効率化やグループ企業との連携など企業価値を高め、選ばれる足場会社として高みを目指していきます」と高木茂光社長。