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日本工営 札幌支店

衛星データでインフラの変動リスクをモニタリングする「LIANA」

画期的システムで社会インフラの課題を解決

 日本工営は、総合建設コンサルの国内最大手としてさまざまなインフラ整備に携わっている。昨年のホールディングス化により「ID&Eホールディングス」の主要事業会社として新たな歩みを進めた。

 近年は、防災・減災事業にも注力し、2022年には衛星データで斜面や盛土、道路などのインフラの変動リスクをモニタリングする「LIANA(リアーナ)」をリリース。㍉~㌢㍍単位で地表の変動を把握できるほか、過去の履歴の確認も可能で、災害の防止や被害を減らすツールとして期待されている。

 今年3月には「LIANAメッシュ」の提供を開始。広範囲をモニタリングするLIANAに対し、同サービスは局地的な衛星データの提供となるため、年間21万円からと低価格で利用できるのが特徴だ。ゼネコンやインフラ事業者、建設コンサルなどからも引き合いが増えている。

 橋場克泰支店長は「近年、地震や豪雨などの自然災害やインフラの老朽化、人手不足などさまざまな問題がありますが、北海道も例外ではありません。同サービスの導入で、維持管理の省力化や効率化につなげてほしい」と話す。

 また、18年からJAXA(本社・東京都調布市)が産学官連携で取り組んでいる滑走路の雪氷状態をリアルタイムで把握する「雪氷モニタリングシステム」の開発に20年から参画している。22年2月には、新千歳空港で実証実験が行われた。現在は実用化に向けた改良を行っている。

 同システムは滑走路にセンサーを埋設し、雪氷内の光散乱状態を計測。AIで雪厚や雪質を解析し、運行管理や除排雪の適正運用を行うというもの。豪雪地帯で問題となっている航空機の遅延や欠航を軽減する狙いがある。

 札幌支店を置く道内では、公共事業の受注が好調。橋場支店長は「皆様が安心して暮らせるよう、私たちの技術とマネジメント力を存分に生かし、地域に貢献していきます」と語る。

橋場克泰支店長
滑走路の雪氷状態を把握する雪氷モニタリングシステム(図JAXA提供)