ほっかいどうデータベース

日本工営 札幌支店

同社中央研究所内にある「DNA分析室」

無害なDNAトレーサーで不明水や漏水の起源特定へ

 総合建設コンサルタントのリーディングカンパニー。これまで70年以上にわたり、携わったインフラ整備は多岐にわたる。

 環境調査も建設コンサルタントの重要業務の1つ。健全な水循環を構築するため、河川やダム、地下水などの水質調査も実施している。

 そこで着目したのがDNAを用いた解析技術。19年から研究を続け、22年には独自の「環境DNA技術」を確立。水中の微量なDNAを検出することで生物の存否が明らかになり、生物モニタリングツールとして活用している。

 この技術を応用したのが24年7月に発表した新たな解析・調査技術「DNAトレーサー」だ。道路陥没や地下工事などの漏水箇所の確認や何らかの原因で流れ出てしまった不明水の特定に役立つことを目指す。施設の老朽化や豪雨発生頻度の増加など全国的に多発する漏水事故の原因の解明などにも広く活用できると考えている。

 同社は山口大学と共同研究を行い、安全で無害な人工DNAトレーサーを開発。これを漏水箇所の上流に流し、DNAが到達した地点や時間などを前述の環境DNA技術を用いて解析することで水の流れを可視化。水の経路を証明する方法の実用化に向けた取り組みを進める。

 橋場克泰支店長は「この取り組みが実用化できれば、災害や事故に対してリスクの軽減も期待できます。ID&Eグループの一員として、北海道の皆様が安心・安全な日々を過ごせるよう貢献していきます」と語る。

次世代シーケンサー
(illumina社製分析機)
橋場克泰支店長
「DNAトレーサー」のイメージ