【今月号特選記事】「人殺し以外なんでもします」花畑牧場・田中義剛に勝った“過激な闘士”

「不当な目に遭った労働者を守るためには極端に言えば、人殺し以外なんでもします。きれいごとなんか言ってられません」

 ある団体への寄稿文にそう書いているのは、札幌地域労組の鈴木一副委員長。世間的には無名の人物だが、ある一件で全国に名が知れた。

 ワイドショーでも報じられた、花畑牧場(社長・田中義剛氏)の労使トラブルで、鈴木氏はベトナム労働者側の軸として動いた。

 労使トラブルは、経営者側が一部のベトナム労働者に対して損害賠償請求や名誉棄損をちらつかせ、苛烈さを増した。

 ところが、3月中旬に一転して和解。メディアに公表された和解内容を見る限り、労働者側の勝利といって差しつかえない。

 花畑牧場は和解後1週間程度、自社HPに「ベトナム人従業員3名との円満解決について」とのお知らせを掲載。その中で、次のように述べている。

「外国人労働者の受け入れ実績も浅く、対応や体制に至らない点があり(中略)多くのベトナム従業員に大きな不安を与えてしまいました。また、その後の当社の対応にも不適切と思える部分があり、多くの誤解や余計な心配を招く結果になってしまいました」

 異国の地から来た、法律に疎いベトナム人労働者たち。鈴木氏や札幌地域労組の存在抜きに、円満解決はなかっただろう。

鈴木一氏 ©財界さっぽろ

 鈴木氏は実は、道内の一部の経営者や本道労働界ではつとに知られた存在である。数多くの労使トラブルで勝利をしてきた。

 ぎゃふんと言わされた経営者の記憶には、やっかいな相手として刻み込まれているはず。鈴木氏は自ら矢面に立ち、徹底的に戦う。時にはマスメディアも利用して。

 脅しの類いには決して屈しない。むしろ向こう傷を負ってきた。これまで刑事で1回、民事で3回、計4回も訴えられた。ちなみにすべて勝っている。

 ただ、「人殺し以外はなんでもする」スタイルは「過激な面がある」(連合北海道関係者)とも言われる。

 労働運動が華やかなりし頃の匂いをいまだまとう"過激な闘士"なのだ。御用組合が少なくないと言われる昨今。田中氏を始めとした花畑牧場の経営陣側は、鈴木氏のようなガチンコ労組の手強さを知らず、当初は強気の姿勢を見せたのかもしれない。

 本日から雑誌版発売の月刊財界さっぽろ2022年5月号では、鈴木氏の"向こう傷半生"をまとめている。全国の書店店頭で取り寄せ可能なほか、当社オンラインショップからも購入できる。お買い求めは以下のリンクからどうぞ。

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