【今月号特選記事】地元・旭川に商業施設「ここはれて」を自ら展開、杉村太蔵の「超マジメな話」

 テレビなどで活躍する旭川市出身の杉村太蔵氏。人気番組「サンデー・ジャポン」(NTV系列)では時におどけた役回りをし、MCの爆笑問題・太田光から「薄口政治評論家」と命名されたが、それはあくまで番組向けのキャラ。故郷で始めたソーシャルビジネスからは、杉村氏の別の顔が浮き彫りになる。

 杉村氏が故郷・旭川市でこの夏から展開するのは「旭川ここはれて」という商業施設。小規模な20以上の店舗が集結する。発想の原点は、政治家時代からテーマにしていた地域活性化だ。

 杉村氏は言う。

「議員時代、私も地方活性化を訴えて活動をしていましたが、歴史を振り返ってみると実は、日本政府はずっと地方活性化策を打ち出してきました。例えば田中角栄は、道路などの公共インフラの整備を通じて地方活性化を狙ったと言えます。では地方活性化策をずっと講じてきたにもかかわらず、なぜ地方が衰退していったのか。もどかしさをずっと感じていました」

衆院議員時代の杉村太蔵氏(2008年撮影) ©財界さっぽろ

 杉村氏は慶應義塾大学大学院に入り、学び直す中で地方活性化とは企業数、雇用、税収を伸ばすことと定義。具体的な取り組みを始める。ヒントになったのはマイクロクレジットとベーシックインカム(BI)、行動経済学的アプローチだという。

 マイクロクレジットは無担保少額融資を行い、貧困問題を解決する仕組み。杉村氏は「小さなビジネスをたくさん生んでいく」という点に注目した。

 BIについては、興味深い調査結果に着目した。

「『もしBIが導入されたら何をしますか』という質問をすると『勉強をもう一度したい』とか『新しいことに挑戦をしたい』といった回答が、少なくない割合を占めました。BIは人の挑戦意欲を高める可能性を秘めているのです」(杉村氏)

 行動経済学からは「人は儲けようという心理よりもリスク回避の心理が強く働きます。起業に当てはめるなら、失敗して多額の借金を背負ったらどうしよう、とブレーキが働くわけです。逆に、失敗しても大きな借金を背負わない仕組みがあったら、挑戦が増えると考えました」と杉村氏は語る。

 こうしたヒントを得て、「挑戦しやすい環境づくり」に腐心。「旭川ここはれて」では、異例の契約方式を導入した。出店者は内装負担、敷金ゼロ。契約期間は3年だが、いつ辞めても中途解約金はなし。退店時に現状回復義務も課さない。

 杉村氏は「旭川でこのスキームを軌道に乗せたら、道内の他の都市にも広げていきたい」と目標を掲げる。

「ここはれて」のイメージパース ©財界さっぽろ

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