【今月号特選記事】次期衆院選不出馬?自公協力に翻弄され続けた渡辺孝一の8年

衆院比例北海道ブロック選出の自民党・渡辺孝一氏(左)と道10区選出の公明党・稲津久氏 ©財界さっぽろ

 来年1月の衆議院冒頭解散が現実味を帯びてきた。北海道内12の各小選挙区で選挙の態勢固めが急がれる中、本誌2020年12月号では、比例道ブロック選出の自民衆院議員・渡辺孝一氏に浮上している“不出馬説”を取材した。

 渡辺氏は“自公協力の象徴”として、過去3度の選挙において「比例北海道ブロック単独1位」に処遇され、当選を重ねてきた。

 初当選から現在までの8年間、東京・永田町では議員仲間から「選挙が楽でいいよね」と皮肉を言われ、地元・10区に戻れば「なぜ投票用紙に『渡辺』と書けないのか」と、支援者から詰め寄られてきたという。

 かつて10区は「小平王国」と呼ばれるほど、民社党の元衆院議員・小平忠氏が強固な地盤を構築していた。その息子で、民主党の元衆院議員・忠正に代替わりしても“王国”は盤石で、自民は小選挙区で1度も忠正に勝てなかった。

 10区の政治関係者に衝撃が走ったのは11年夏。公明党北海道本部代表で、比例道ブロック選出の衆院議員・稲津久氏に「10区出馬説」が急浮上したのだ。そして同年11月20日、稲津氏は正式に10区出馬を表明した。

 自民10区支部は当然のごとく猛反発した。地元重鎮道議の釣部勲氏を中心に独自候補擁立を模索。白羽の矢を立てたのが当時岩見沢市長の渡辺氏だった。だが、党本部は自公の選挙協力を優先し、渡辺氏の公認を認めなかった。自民道連が提示した処遇は「10区以外の選挙区候補11人を比例1位、渡辺は単独2位」というもの。

10区支部は「それでは当選の保証がない」と断じ、比例であれば「単独1位」を求める方針を固めたが、10区支部は「比例2位のままなら、無所属で出る」と強硬姿勢を崩さない。自公協力に悪影響が及ぶことを危惧した党本部は、ついに渡辺を単独1位とする方針を固めた。

 小選挙区・稲津、比例単独1位・渡辺という構図はこうして生まれた。14年、17年の選挙でもこの構図は維持されてきた。

 そしていま、渡辺氏には不出馬説が流れている。本人は「10区から自民党の灯を消さない方法を考える」と語り、去就について明言を避けている。

 過去3回の選挙と決定的に違うのは、解散が近いとされる時期に入っても、10区支部から公認申請の動きが出ていないことだ。あす11月21日には10区支部の総会が開かれる。そこでは必ず渡辺の去就についての質問が出る。

「このときにどうするか自身の考えを述べるのだろう」(10区関係者)

渡辺孝一氏(左)と渡辺氏が所属する自民党岸田派(宏池会)会長の岸田文雄氏 ©財界さっぽろ

 自公の選挙協力を巡っては、広島3区でも公明が独自候補擁立を決め、自民の同県連がそれに反発するなどの問題が起きている。

 広島と言えば、自民政調会長の岸田文雄氏率いる岸田派のお膝元。渡辺氏も同派閥に属しており、10区も公明と岸田派の対立に巻き込まれる可能性もある。

 発売中の月刊財界さっぽろ2020年12月号では、渡辺孝一氏の去就に加え“ポスト”渡辺と目される候補者の顔ぶれについても詳報している。道内書店・コンビニエンスストアのほか、以下の当社公式通販サイトなどからどうぞ。

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