【全文掲載】札幌国際大学からクビを宣告された大月隆寛教授の教え子有志が大学に抗議文送付
“これは報復解雇だ”――札幌国際大学(札幌市清田区)では、外国人留学生の受け入れをめぐって理事長の上野八郎氏と、学長の城後豊氏が対立。城後氏は学長を退任する間際の今年3月末に記者会見を開き、その違法性と適正化を訴える事態となっていた。
同大教授で民俗学者の大月隆寛氏は、兼ねてから留学生受け入れについての問題点を指摘、城後氏とともにその会見にも同席していた。
「(城後氏らの主張については)事実誤認がある」とする大学側は、大月氏に対し、会見への同席やSNSで内部情報を漏らしたことなど4点をもって「事実誤認の学長の主張に同調し、会見に同席した行動に問題がある。結果的に本学の名誉を傷つけた」として6月29日に大月氏を懲戒解雇した。
大月氏はこれを不服として、直ちに地位保全を求める仮処分を申請。審尋の結果いかんによっては、8月中にも地位確認訴訟を提起する構えという。
「厩舎物語」「無法松の影」など多数の著書を上梓するかたわら、エッセイなどの文筆業、テレビコメンテーターを務めるなど著名な大月氏のもとには、多くの学生が集っていた。
8月18日、その教え子有志が「SIU卒業生有志」というTwitterを開設。同大に対し、恩師の懲戒解雇に対する経緯の説明などを求めた「抗議文」を送付した。
19日、編集部はその写しを入手したので、以下に全文を公開する。
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令和2年8月18日
学校法人 札幌国際大学
理事長 上野 八郎 様
大月隆寛先生の懲戒解雇処分及び在学生への経緯説明・対応について(抗議)
令和2年3月31日、前学長による留学生受け入れ問題に関する記者会見が開かれたところですが、それに係り、大月隆寛先生がその記者会見に同席したこと等を理由に令和2年6月29日付で懲戒解雇されたことについて、その処分は理由に鑑みて著しく重く、不当な処分であることから、処分の撤回を求め強く抗議します。そもそも前学長による記者会見は大学が文部科学省の示す日本語能力の水準に達していない外国人留学生を受け入れたことを告発することが主旨であり、記者会見後、大学も平成31年4月時点で日本語能力の水準に達していない外国人留学生が複数いた事実認めていることから、全くの事実無根の記者会見であるとは言えません。問題の認識について、双方の主張の食い違いがあるとしても、上記のようにある一定の事実を前提としている以上、前学長による記者会見は問題提起として意義はあり、これに同席したことを主な理由とする懲戒解雇は行き過ぎた処分として甚だ納得がいきません。このような行き過ぎた処分は先生の名誉を傷つけ、先生に教わった私たち卒業生の名誉をも傷つける行為であることから、強い憤りを覚えます。
上記処分が学期期間中突然なされたことにより、非がないはずの在学生が先生の講義を受けることができなくなり、単位履修に支障をきたし、留年する恐れにさらされています。さらに、受けられなくなった講義分の学費は誰が負担するのか、第三者の誹謗中傷から在学生をどのような方法で守るのかという問題も生じています。在学生はこのような理不尽な問題に複数直面し、不安な学生生活を強いられていますが、大学はその不安を取り除くための経緯説明・対応を在学生が納得する形で行ったのでしょうか。保護者も同様に不安を感じています。このような大学の対応は、あまりにも在学生の今後を考える視点がかけており、私たち卒業生は大変遺憾に思っております。速やかに経緯説明・対応を明らかにすることを強く求めます。
告発された問題について、出入国在留管理庁が調査をしているとの報道があります。調査の結果、そのような事実があるとされれば大学運営法人は当然責任問題になるものと認識しておりますが、そのような事実がないとされた場合であっても、大学運営法人は告発された問題を真摯に受け止め、外国人留学生への誠実な対応(講義における言語理解の補助、日本での生活サポート等)を確保していることを独自調査等により明らかにし、結果を公表することにより明確化することを強く求めます。
つきましては、上記を踏まえ、以下について文書による回答を求めます。
- 大月隆寛先生を懲戒解雇処分とした理由及び根拠を明らかするとともに、大月隆寛先生の懲戒解雇処分の撤回を要求する。
- 大月隆寛先生の懲戒解雇処分により学生生活に支障をきたしている在学生への誠意ある経緯説明・対応を明らかにされたい。
- 外国人留学生への適切な対応がとられているのかを公平に調査後、結果を公表して頂きたい。
尚、上記抗議文を提出した旨を、SNS上で公開致します。
札幌国際大学卒業生有志
代表 ●●●●(本文は実名)
(以下、27人の有志の名前が記載されていた)
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なお同大では先頃、留学生問題に関する第三者委員会を設置。事態の収拾に乗り出す予定だ。月刊財界さっぽろ編集部では、この問題をはじめとする“キナ臭い”話をさらに追及する予定だ。
この問題に関しては、8月14日発売の月刊財界さっぽろ9月号でも関連記事を掲載。こちらもぜひご覧ください。
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