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今井仮設工業

大型物件など数多くの工事に携わる

新たな採用方法を採用。業界全体の未来も見据える

 とび職を専門とする「今井仮設工業」。高層マンションや大型商業施設などのほか、橋梁、発電所などの建築・改修工事に足場工事やコンクリート工事などを担う。現在も北海道新幹線延伸工事で足場とコンクリート土工事の分野に携わっている。

 あらゆる業界の中でも人材不足が深刻な建設業界だが、同社では未来に向けた取り組みとして、新たな採用方法を採用。新年度から体験型の面接試験を導入していく。

 今井厚会長は「百聞は一見にしかずです。試験の段階で可能な限り当社や現場の雰囲気を感じてもらいたい。ミスマッチを防ぐのが最大の目的です。若い世代の〝建設離れ〟を食い止めたい」と導入の経緯を語る。

 一方、北海道では大規模な建設工事が今後も数多く開始される予定で、輸送能力のひっ迫が予想されている。これに先駆けて、同社では2022年に運送業の認可を取得。さらに、運行管理者の国家資格を有する従業員もそろえ、24年春から建設資材専門の運送業を開始する。輸送能力の増強に加えて、人材活用にも役立てるという。

「とび職人を引退した人にも、ドライバーをしてもらう構想です。肉体労働をしなくても建設業に携わることができ、早期の世代交代にもなる」と今井会長。

 現場を知るベテランのとび職人の継続雇用につながり、若手からベテランまで幅広い人材の確保にもなる。「会社を大きくするのは2番目、1番は人材の確保・育成」を信条とする今井会長ならではの、一挙両得の戦略だ。

 また、今井会長はかつて一般社団法人北海道鳶土木工業連合会副会長、北札鳶土木組合組合長を歴任。現在は相談役に就いており、業界全体の未来のためにも汗をかく。重点項目は「管理者の育成」「週休2日制の導入」「月給制の導入」だ。

「例えば、民間工事の場合は週休1日制が根強く残っている。こうした習慣を改革しないと若者の職人は増えません。目指すのは、職人の気質をなくさずに、サラリーマン並の制度を取り入れることです。ゼネコンと一緒に業界の未来を変えていく」と今井会長は意気込む。 

 

札幌市内の神社などでは梯子乗りを披露し、伝統を継承することに尽力
今井厚会長