今井仮設工業
業容の拡大を加速。業界の〝サラリーマン化〟も目指す
とび専門集団の「今井仮設工業」は、基礎工事やコンクリート工事、足場工事が主事業。1984年の創業以来、高層マンションや橋梁、発電所など数多くの建築・改修工事に参画し、その技術力は折り紙付きだ。
今年も大型物件が控える。春からは札幌と小樽市内で高層ホテル、室蘭市では大規模牛舎の基礎工事と足場工事がスタートする予定だ。また、昨年から北海道新幹線延伸工事で小樽地区の足場とコンクリート工事も担当しており、雪解けを目処に再開される。
今井厚会長は「増加する受注に対応すべく、昨年からはいわゆる〝次世代足場〟である『ファステック』を導入しました。従来型に比べて安全性が向上し、足場内の空間が広く作業効率が高いのが特徴です」と話す。
好調な業績が続くが、同社では現状に甘んじること無く業容を拡大している。昨年からは運行管理者の国家資格者を配置して、建設資材専門の運送事業を開始。これにより、資材搬入から工事までワンストップで対応できる体制が整った。
さらに、運送部門の増員で重機オペレータやダンプ運転手を確保し、今冬からは除排雪事業も手掛けている。中核事業を成長させつつ、社会ニーズに応える事業展開でさらなる拡大を狙うのが同社の〝道〟だ。
自社の成長を加速させる一方で今井会長は、とび業界全体の発展や技術継承にも尽力。一般社団法人北海道鳶土木工業連合会副会長や北札鳶土木組合長を歴任し、現在は北札鳶土木組合の相談役としても活躍している。
「特に業界には、週休2日や月給制の導入が必要です。民間工事の場合は、週休1日制が根強く残っている。職人の気質をなくすことなく〝サラリーマン制度〟を取り入れることを目指しています」(今井会長)
もちろん、業界発展には若手の育成や底上げも必須だ。なかでも、職人だけではなく管理者の育成が急務だという。
「職人に比べて、国家資格が必要な現場管理者が圧倒的に少ない。道内では今後も大規模な建設計画が控えていますが、工事の管理者が不足しては、そもそも工事が成り立ちません。こうした部分を抜本的に変えるため、まずは自社から管理者を増やしていく」と今井会長。