道内最大手・道路維持管理グループHRMホールディングスが新体制
HRMホールディングスは11月30日の株主総会で顧問の吉岡亨前・札幌副市長を社長に、大野晃社長を会長兼CEOに選任した。大野末治会長は取締役相談役として引き続き助力していく。道路維持管理を担い50余年、経営基盤を強化した新体制で次のステージへ突入する。
行政視点も取り入れ業務の質を高める
――経営基盤がさらに強化されましたね。
大野 HRMホールディングスは、筆頭事業会社「北海道ロードメンテナンス」を中心としたグループ全11社の持株会社であり、グループ各社を導いていく役割を担っています。事業会社の束ね役として、吉岡社長が持つ行政での経験を存分に生かしてほしい。
吉岡 当初は顧問としてお手伝いするつもりでした。それが思いも掛けず社長に、というお話をいただき、責任の重さを感じています。行政の経験はありますが、民間企業に務めるのは初めてであり、会社員としては〝新人〟です。大野晃会長や大野末治相談役にご指南いただきながら、グループのさらなる発展に寄与できればと思います。
――〝第二の人生〟がスタートしますね。
吉岡 札幌市在任中から、道路維持管理や下水工事、除雪など、決して派手とは言えない地味な仕事でも、市民の生活を支えるために尽力してくれる北海道ロードメンテナンスをはじめ、大野末治相談役や大野晃会長には大変お世話になりました。公共インフラの維持管理を担うという使命感のもと、誠実に業務を遂行する企業だと感じていました。
そんなお人柄の、北海道を代表する道路維持グループのトップから熱心にお誘いいただき、「私でよろしければ」と、お世話になることを決めました。
――吉岡氏を社長に据えた理由は。
大野 発注者である各自治体が我々に何を求めているのか、民間企業の視点とは全く異なる視点が必要だと考えたからです。
我々の業務の90%以上は札幌市をはじめとする各自治体や国土交通省北海道開発局など官公庁の公共事業です。
民間の視点に加え、吉岡社長の行政の視点を組み合わせることで、各事業会社の業務の質は高まり、最終的な顧客とも言える市民・道民の満足度も高まるはずです。プロの行政マンとしての的確な指摘、意見を期待しています。
吉岡 道路や下水道などの公共インフラは、新設から維持管理の時代に移っています。年間予算の多くが「改築・更新・再構築」に充てられている近年の状況を踏まえると、当グループが担う役割はどんどん大きくなると考えています。
――新社長としての心境は。
吉岡 ホールディングスの役割は、グループのシンクタンクとして、グループ各社に実践的なアドバイスを送ることだと認識しています。まずはグループ各社の状況を把握し、しっかりと職務をまっとうしていきたいと思っています。
大野 人材確保の観点も含め、今後もこれまで以上に当グループの企業価値の向上、企業ブランド力の強化に力を入れていきます。吉岡社長には最前線に立っていただき、社内外で〝なくてはならない会社〟であることを積極的に発信してもらいたい。社会にいかに貢献しているか、企業としての責任を果たしているか、吉岡社長ならではの分析とアイデアにも期待しています。
競争ではなく協業地域の企業を守る
――ブランド力を強化し、M&Aも加速させるのでしょうか。
大野 M&Aで業容を拡大しているグループだと認識されているかもしれませんが、地場企業を存続させる手段の一つがM&Aだと捉えています。
2007年に「広島建設」(北広島市)、13年に「北海ロード」(北見市)、16年に「ダイワ整備機工」(札幌市)、20年に「野田組」(本別町)がグループに加わりました。地域になくてはならない、存続させなければいけない企業が後継者不足に直面しています。地域のパイを〝奪う〟つもりは一切ありません。事業継続が困難な状況でも「地域に迷惑はかけられない」と踏ん張っている地場企業は少なくない。そんな企業から頼られる存在になりたい。今後は競争ではなく協業が重要です。そのためにもM&Aを推進していきます。
――吉岡社長、大野会長、今後の意気込みを聞かせて下さい。
吉岡 道路や下水は我々の生活になくてはならない重要なライフラインですから、この分野のリーディングカンパニーを束ねる責任として、グループ各社の業務の質をさらに高められるよう、尽力していきます。
大野 吉岡社長には私のサポート役になってもらい、これまで以上に迅速で的確な経営判断を下していきたい。
大野末治相談役も肩書こそ変わりますが、役割はこれまでと大きくは変わりません。私の使命はグループ各社のさらなる発展と、総勢300人を超える社員を守ることです。