桑園整形外科
サインは音が鳴る、きしむなど。手術は低侵襲で低負担
厚生労働省では、自覚症状を有する人も含め、変形性膝関節症の患者は全国に約3000万人いると推測している。
この変形性膝関節症を専門とするのが「桑園整形外科」の東裕隆理事長だ。2007年の開院以来、変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術を3000例以上実施(23年7月末現在)。年間でも150例以上を手掛けている。
手術のなかでも、東理事長が得意とするのは「MIS(Minimally Invasive Surgery)」だ。従来の術式では10〜15㌢ほどの切開が必要だが、東理事長の場合は約5㌢。術後の痛みも軽減し、通常1〜2カ月の入院期間は半分程の2週間に短縮できる。
このMISは高度な技術が必要なため、限られた医療機関でしか施術はできない。同院は、膝関節外科医を目指す整形外科医が研修を行う。人工膝関節研修施設にも指定されており、こうした施術も可能としている。
東理事長は「膝が痛むケースで音が鳴る、きしむ、曲げづらいといった症状がある場合は変形性膝関節症が疑われます。手術は進行具合などさまざまな要素が絡むため、ドクターの腕がダイレクトに求められる。慎重に判断されるのがお勧めです」と話す。
主な原因は加齢や肥満、筋肉の衰えなどで、膝への負担が増し、クッションの役割を果たす軟骨がすり減ることで痛みが生じる。男性より女性の比率が2倍程高く、女性の場合はホルモンの影響や筋力低下などで膝への負担が大きいことも要因となる。
本誌読者に向けて東理事長は「予防法は膝への負担を減らすことが第一。減量に加え、正座やしゃがむといった動作を避ける、階段の上り下りを極力しないこと」とアドバイスする。
こうした日常的な動作の改善に加えて、同院では正しい方法とフォームの筋力トレーニングを指導。痛みが強い場合は、ヒアルロン酸の注入を推奨している。
「基本は保存療法です。それでも痛みが解消しない場合は、人工膝関節置換術などの手術を行うという流れが一般的です。大切なのは健康寿命を伸ばすことですから、患者さんの状態に合わせて最善な方法を提案しています」(東理事長)
また東理事長は、膝の痛みに関する啓発活動も行っており、定期的に講演会も実施。今年5月に開催した講演では、会場の道新ホール(定員700人)が埋まるほどの盛況となっている。