桑園整形外科

ほんま・しんご/1971年北海道大学医学部卒業。同大整形外科入局。79年米国アイオワ大学留学(脊椎バイオメカニクス)。80年市立札幌病院整形外科部長を経て、2009年桑園整形外科副院長に就任。11年医療法人社団くわのみ会名誉院長に就任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。
腰痛の特徴を熟知。不安を和らげることで痛みを解消
「腰痛」という言葉は、そもそも医学的な診断名ではない。腰が痛くなる疾患の総称で、具体的には腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、脊椎分離症・すべり症、筋膜性疼痛といった疾患がある。それぞれで原因が異なり、原因が分かれば完治を目指すこともできるが、そのまま放置している人も少なくない。
約30年勤めた市立札幌病院で整形外科部長を務め、腰痛・脊椎疾患を専門とする「桑園整形外科」の本間信吾名誉院長は、この分野を得意としている。
「『腰が痛い』と訴える患者の中で、高齢者に増えているのが腰部脊柱管狭窄症です」
腰部脊柱管狭窄症とは、加齢により神経の通り道である脊柱管が細くなることで発症する疾患だ。症状の特徴は間欠性跛行で、歩くと痛み、休むと痛みが止まる状態を繰り返す。
「ただの疲れと勘違いする人も多い。座ると楽だが立つと足が辛いといった症状があれば、腰部脊柱管狭窄症が疑われますね」
治療は、手術と保存療法がメインだ。体幹を鍛えることで痛みが和らぐこともあり、まずは膝を曲げて上肢を伸ばす腹筋体操などの運動療法や生活動作指導などで対処。それでも痛みが引かない場合のみ、最終手段として神経の圧迫を取り除く手術を推奨している。
腰部脊柱管狭窄症のほかにも腰の痛みにはさまざまな原因があり、レントゲンやCTなどの画像診断だけでは分からないケースも多い。そのため慢性化してしまい、日常生活に支障をきたして精神的なストレスにもつながるという。
本間名誉院長はこうした腰痛ならではの特徴を熟知しており、患者が訴える痛みを理解することから治療が始まると考えている。重視するのはインフォームドコンセントだ。
「私の診療ポリシーは、患者さんに対して常に謙虚でいること。そして患者さんからの質問、不安や悩みを含めて〝患者さんの言葉〟を聞くことです。弱い気持ちや思い込みを解消することで、症状が緩和されることもある。疾患や治療に関することはもちろん、抱えている不安をどんどん話してほしいです」

