桑園整形外科
生活動作指導ほか、丁寧な説明で不安や思い込みを解消
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、病気やケガなどの自覚症状で1位となったのは男女ともに腰痛だった。8割以上の人が一生のうちに一度は腰の痛みを経験するとも言われる。自身を含め家族に「腰が痛い」という人がいるのではないだろうか。
「腰痛には、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、筋膜性疼痛など、いくつも種類があります。原因もさまざまで、レントゲンやCTなどの画像診断だけでは分からないこともある。慢性化している人も少なくありません」と語るのは「桑園整形外科」の本間信吾名誉院長だ。市立札幌病院で約30年間整形外科部長を務め、脊椎を得意分野とする整形外科医だ。
「腰の痛みは日常生活に支障をきたすだけではなく、精神的なストレスにもつながる。患者さんに対して常に謙虚でいること、質問に対し不安や悩みも含め説明すること。これが私の診療ポリシーです」と本間名誉院長。
そのため診療は、患者が訴える痛みを理解することから始まる。これが多くの患者から好評を得ている理由の1つだ。
さまざまな腰痛を診る中で、高齢者に増えているのが腰部脊柱管狭窄症だという。神経の通り道である脊柱管が細くなることで発症。主な原因は加齢だ。
「腰の痛みよりも、歩いていると足にしびれや痛みが出てくる疾患です。特徴的なのは間欠性破行で歩くと痛み、休むと痛みが止まる状態を繰り返すことです。ただの疲れと勘違いするケースも多いですが、『座ると楽だが立つと足が辛い』といった症状があれば、腰部脊柱管狭窄症を疑うべきです」(本間名誉院長)
神経の圧迫を取り除く手術も実施するが、これはあくまでも痛みが引かない場合の最終手段。まずは、運動療法や生活動作指導などの保存療法を優先する。体幹を鍛えることで痛みが改善されることもあり、膝を曲げて上肢を伸ばす腹筋体操なども推奨する。
痛みによる不安を解消するため、丁寧なインフォームドコンセントにも力を入れている。
「弱い気持ちや思い込みを解消することで、症状が緩和されることもあります。疾患や治療に加え、抱えている不安をどんどん話してほしい」と本間名誉院長。