20周年の節目を迎え、業界への恩返しと九州進出で飛躍に期待
創業当時は従業員2名。今では本州に拠点を構えるほどに成長
目の前の仕事に精一杯 向き合うことで依頼増
――創業20周年を振り返ってみてどう感じていますか?
中里 職人の世界も時代に合わせて進化しています。当社も、現場に合わせて仕事のやり方を変化させており、それが今につながっていると感じています。
――創業当時は2人だったと聞いています。どのような経緯だったのでしょう。
中里 私は中学生の時に「将来社長になる」と決めていました。鳶の世界にいたので、この業界で頑張っていこうと25歳の時に独立しました。もちろん最初は、安定して仕事をもらえるような状況ではありませんでした。ただ目の前の仕事を精一杯やっていくことで、徐々に声をかけてもらえるようになりました。
――20年間で転機となった出来事はありますか?
中里 1つは僕が現場から離れた事、もう1つは東北で仕事を始めた事です。創業から7年経った頃に優秀な営業員が入って、「そろそろ現場から上がってください」と言われたんです。
それまでは仕事の相談が来ても「現場が終わり次第向かいます」という対応でしたが、すぐに現地に行けるようになりました。私にとってはチャレンジでしたが、顧客対応のスピードが上がり、仕事が回りはじめました。
――東北進出は東日本大震災がきっかけですね。
中里 惨状が記憶に残っている人も多いと思いますが、被災後の損壊家屋を解体するという国の事業に参画しました。
事業としてはひと段落ついたのですが、まだできることはあると思い、複数の地元企業に「お手伝いできます」というDMを送りました。そこから仕事の依頼が直接来るようになり、今も続いています。
――東北営業所では、どのような仕事をしていますか。
中里 例えば、宮城県などが手掛ける「杜の都バイオマス発電所」(仙台市)の新築工事で、足場工事を担当しました。
――道内でも大型案件に携わっていますね。
中里 賛否両論があって話題にもなっていますが、北海道百年記念塔の解体工事に伴う足場工事のほか、留萌電波塔や苫東発電所の足場工事も担当しています。
地域や業界への貢献にも積極的に取り組む
――地域への貢献にも積極的と聞いています。
中里 本社屋上に太陽光パネルを設置して、災害時に地域住民に解放できるようにしています。胆振東部地震でブラックアウトに陥ったことがきっかけです。このほか、21年からは少年サッカー大会のメーンスポンサーを務めたり、最近では地元の総合格闘技チームに練習場所を提供しています。
鳶の組合としては、消防出初式で木遣り歌や纏振り、梯子乗りなども披露して、伝統文化継承にも力を注いでいます。
――新事業への参入は。
中里 コロナ禍のようなリスクに対応するためにも、他業種にも挑戦しています。7月には室蘭市内でドッグサロンを開業し、地域の愛犬家に親しまれる店舗運営を目指していきます。
――職人育成システムを確立し、鳶・土工業界への貢献も行っていますね。
中里 どの業界もそうですが、若手が育たないと衰退していきます。当社の従業員として5年で技術を教え込み、その後の5年間はパートナー企業として協力していくことで、職人としての独立を支援していく制度です。知識やノウハウだけではなく、独立時に独立支援金として100万円を提供しています。
――最後に今後の展望をお聞かせください。
中里 新築・解体現場は全国にあります。これまでの20年間で培った技術を各地で発揮していきたいと考えています。現在、進めている九州での事業をまずは軌道に乗せて、そのノウハウを持って、さらに全国に展開していきたいです。