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北海道文教大学

渡部 俊弘 学長
(わたなべ・としひろ)1952年日高管内門別町(現日高町)生まれ。77年東京農業大学農学部卒業。79年同大大学院修士課程修了。北海道栄養短期大学助手、講師などを経て89年東京農業大学生物産業学部食品科学科講師、2000年同大教授に就任。。東京農大バイオインダストリー社長などを経て14年同大副学長に就任。18年北海道文教大学学長に就任。博士(農芸化学)。

来年度新学科創設。チャレンジを通して人間力に磨きを

――コロナ禍が落ち着いてきていますが、学内に変化は。

渡部 本学は幼稚園・小学校教諭、管理栄養士、看護師、理学療法士などといった人と関わる職業の人材育成を主体としたカリキュラムになっていることから、道内でもいち早く対面型授業に戻しています。一方、コロナで得た教訓も生かして、「自ら考え、問題を見つけて解決していく」といった人材を育成する授業形態に変えていきたいと学内で進めているところです。

――一昨年には国際学部を開設しましたが、今年は医療保健科学部を開設し、来年度も新しい学科を開設すると聞いています。

渡部 人間科学部に地域未来学科を設置する予定で進めています。国際学部、医療保健科学部との連携も深めて実学教育を多く取り入れ、あらゆる課題解決に生きる実践力を養っていきたいと考えています。2024年4月の開設に合わせて、6月下旬から学生募集の開始に向けて準備をしています。

――学生の募集方法も新しい仕組みを導入しますね。

渡部 「北海道活かす人選抜」と「協働型課題解決選抜」という2つの選抜方法を採用した新総合型選抜制度を24年度からスタートさせます。「北海道活かす人選抜」では地域の推薦者が必要で、将来計画をテーマにした小論文と面接を行います。

一方、「協働型課題解決選抜」では90分間のグループ活動を実施し、リーダーとしての素養を持っているかなどをテーマに選抜を行います。先ほどお話ししたように、自ら考えて、問題を見つけて解決していくといった人材を広く選抜することを目的としています。

――入試状況も好調ですね。

渡部 医療保健科学部は、今年度も看護学科とリハビリテーション学科、そしてこども発達学科が定員以上の学生を受け入れています。健康栄養学科や国際コミュニケーション学科など、そのほかの学科も概ね定員を充足しています。来年度は新学科が加わりますので、このまま好調を維持していきたいです。

――就職の状況はどうですか。

渡部 就職課と学生のコミュニケーションがよく、昨年度の実績を上回りました。大学全体の就職率は99.5%で、6学科のうち4学科が100%です。「就職の文教」と言われていますので、こうした伝統と実績を維持できてホッとしています。

――包括連携協定の締結先も増えていますね。

渡部 自治体や法人など合わせて55件を数えています。直近でも、帯広市内の病院との連携協定によって、地方から学生を受け入れ、卒業後に地元の病院で働いてもらうといったような仕組みも作っています。「北海道活かす人選抜」にも、そのようなシステムを組み込んでいます。

ほかにも、びっくりドンキーを運営するアレフとの協定では「えこりん村」などの恵庭産食材を使ったSDGs弁当を開発しました。学生が作成したレシピをもとに、恵庭市内の「釜めしいちえ」が商品化し、教育旅行団体向けに販売をしています。

さらに、ラルズと北海道味の素と「〝食と健康〟レシピコンテスト」を開催したほか、ポッカサッポロ北海道と「みんなで作ったレモン×100レシピ」というレシピブックを共同制作するなど、産学連携は大きく発展しています。

――社会人と関わるなかで、人間力が養われていきますね。

渡部 AIの導入やデジタル化が進んでいますが、AIにできないこともあります。例えば、感動や愛、信頼関係、創造性、コミュニケーションなどですね。AIはいくら知識を身につけても人間力を養うことはできません。しかし、人間はさまざまな経験を積むことで自分らしさに気付いたり、人間力を磨くことができます。

本学では、実習やプロジェクトへの参加などの環境を整えており、何かに真剣に取り組んだり、チャレンジすることができます。本学の学生には、ここでの経験を通して人間力を磨いてほしいと願っています。

 

JR恵庭駅から徒歩8分とアクセスも良好だ
理学療法実習の様子。学生達は真剣に取り組む