【今月号特選記事】元支援者と不動産でトラブル、自民党・東国幹衆院議員(北海道6区)の不可解な裁判

 道6区選出の自民党衆院議員・東国幹氏は2019年10月、札幌地方裁判所で土地・建物明け渡し請求を起こした。明け渡しを求めたのは札幌市白石区に建つ1軒の住宅だ。

 この住宅にはかつてN社が事務所を構えていた。そのN社の事実上のトップが、東の元支援者だった男性Y氏。東氏と争っている実質的な相手である。実質的と付け加える理由は後述する。

 Yと東の両氏は16年末頃から、前述した白石区にある住宅(敷地も含む)の売買話を始めた。翌17年3月3日、東氏は北海道銀行から住宅ローンで4300万円を借り、同日、代金として4000万円をY氏の弟に対して振り込む。

 Y氏の弟が土地・建物の所有権者として登記されており、売り主という立場だった。そのため、1審ではY氏が経営するN社とともにY氏の弟も、被告になっていた。

 ただし実際は、Y氏と東氏の間ですべて取り決められ、Y氏の弟は形式上の取引相手に過ぎない。東氏も「Yの弟に会ったことはない」と同様の見解を示す。実質的な相手という表現でY氏を前述したのはこうした理由だ。

衆院選当選確実を受け万歳三唱する東国幹氏 ©財界さっぽろ

 ここからが本題である。通常の不動産売買とは異質な金の動きについて触れていく。

 東氏から4000万円が振り込まれた後、すぐにY氏の弟から東氏の口座に1500万円がバックされた。さらに、その1500万円が、東京のショップブックジャパン社(以下SBJ社)に振り込まれる。

 目まぐるしい一連の金の流れは、すべて17年3月3日、たった1日で起きた。一体、どういうことなのか。東氏とY氏の説明はことごとく異なっている。Y氏の主張は以下の通りだ。

 当時、東氏は資金面で困っていて相談を受けた。売買はあくまで仮装で、東氏に住宅ローンを組ませ、代金に相当する額の中から1500万円分を東氏に戻すことで事前に合意していた。

 Y氏側に残った2500万円は預かり金という認識だ。いずれ登記上の所有権をY氏の弟名義に戻してもらった時に、帳消しにする約束を交わしていたという。

 一方、東氏側の話に耳を傾けると、まったく別の様相を呈する。そもそも売買話はY氏から持ちかけられたとする。裁判に提出された東氏の陳述書では、経緯について次のように書かれている。

 金に困ってはおらず、Y氏から4500万円で購入してほしいと打診があった。支援者からの話なので検討したものの、高いので減額を交渉した。売買契約書上は4000万円とするものの、さらに1500万円値引きし、実際の代金は2500万円と提案された。

 SBJ社への1500万円はY氏に依頼されたと主張している。半分がSBJ社の株式購入代金で、残り半分は実質上、Y氏への貸付金になった。

 東氏はこう説明する。

「SBJ社の社長はY氏から紹介されました。当時、社長とY氏は表裏一体のような関係でした。1500万円は売買とセットで決まった話。全額が株式購入代金という理解でしたが、後に、半分はY氏への貸付金になっていたと知りました」

 札幌地裁は20年11月、原告・東氏の請求を認める判決を出した。しかしその後、Y氏側が控訴。現在、札幌高裁で審理が続く。

 ところで売買が正当だったか否かとは別に、重大な契約上の問題が生じている可能性がある。

 それは……続きは本誌で。

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