【今月号特選記事】東京五輪の“まずさ”に秋元克広市長も頭悩ます?2030冬季五輪招致の「機運醸成」

 IOCと政府の東京五輪への対応に「もう勘弁してくれ」と、心の内で思ったのが、2030年札幌冬季五輪の招致推進派だろう。秋元克広札幌市長も、その一人だ。

 札幌市が2030年冬季五輪の招致を進めているのは周知の通り。これまでは五輪憲章により、開催地は原則7年前に決める規定だったが、IOCがこれを撤廃。現時点でIOCから選考スケジュールなどは示されていない。それでも市は、今年10月に独自の開催概要を公表する方針を示していた。

 招致のネックの1つになっているのが、札幌市民の声だ。今年4月に北海道新聞社が実施した、招致の賛否に関する世論調査では「賛成派」と「反対派」は半々。

 市関係者は「五輪開催の機運を高めるためにも7割程度の賛成がほしいところ。東京五輪が終わったら、札幌冬季大会の機運を高める取り組みにシフトしていくのが既定路線だった」と語る。

秋元克広札幌市長と橋本聖子五輪担当大臣(当時、2019年10月撮影) ©財界さっぽろ

 秋元市長は7月28日の定例記者会見で、記者から東京五輪開催による2030大会招致活動への影響についての質問が飛ぶと、具体的な明言を避けた。開催概要計画の発表スケジュールに対しても「あらためてJOC(日本オリンピック委員会)などと協議したいと思います」と答えるにとどめた。その後、秋元市長は8月10日の定例記者会見で、概要計画の中身と発表スケジュールを見直しを示した。

 五輪の招致活動はさまざまな面で制限があり、東京大会開催中も表立った活動はできなかった。それでも、札幌で東京大会を盛り上げるイベントなどを行うことで、それが2030冬季大会への機運醸成にもつながるとみられていた。しかし、そうした取り組みを積極的に実施することはできなかった。8月14日発売の本誌9月号ではその背景を探っている。

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