【道2区補選】鶴羽佳子氏が出馬正式表明も、水面下では“ドタバタ劇”
「いつになったら正式表明するのかと言われておりましたが、ようやく準備が整い、今日を迎えることができました」
4月13日告示、同25日投開票の日程でおこなわれる衆議院北海道2区補欠選挙に出馬を検討していた鶴羽佳子氏が、きょう3月17日に出馬を正式表明した。
鶴羽氏は1968年生まれ、大分県出身。千葉大学教育学部卒業後の91年にHBCへアナウンサーとして入社し、その後フリーに。個人事務所の代表を務めるほか、2011年から道教育委員を2期8年担当した。昨年は運営法人理事を務める「茨戸アカシアハイツ」で新型コロナのクラスターが発生。対応に当たった経験を持つ。
「教育や福祉の仕事を通し、政治に興味を持った」という鶴羽氏が出馬の検討を始めたのは2月初旬。そこで真っ先に相談したのが、ツルハホールディングス会長の鶴羽樹氏だ。
同じ鶴羽姓だが、直接の親戚関係にはないという。だが10年以上にわたり同グループのイベントで司会を務めるなど関係は深く、出馬に際し、支援を快諾した。
ほかにもアイビックグループ代表の牧野利春氏など、個人的なつながりで支援を要請。その結果「Mammy Pro」(札幌市)社長の阿部夕子氏を代表に、鶴羽樹氏、牧野氏のほか女性経営者を中心に30人近くが発起人として名を連ねた。
会見で鶴羽氏は、2区“補選”自体の原因が政治とカネであることから、政治の透明性を政策の第一に掲げた。とくに、現状では国政選挙に巨額のカネがかかることを踏まえ、今回の補選ではカネをかけない戦いをおこなうという。
また道教育委員として、道庁内の女性管理職の増加を訴えてきた経験があり、直近のトピックである女性の社会進出についても、自ら声をあげることの大切さも強調。合わせて、小学校からのキャリア教育導入にも取り組むとした。
このほか、介護の担い手不足からくる不安や待機児童対策、観光政策についても自身の思いを語った。
また、こうした自身の政策をSNSなどを通じて伝える上で、実際の選挙事務所のほかに「バーチャル選挙事務所」の開設も発表。支援者の1人でテレワーク分野の先進企業「ワイズスタッフ」(北見市)の関連会社の協力を得て、関係者などがオンラインで選挙活動をするという。
一方、鶴羽氏は「もともとの考え方が保守であることや、スピード感を持って社会を変えていくためには政権政党の一員にならなければならない」として、秋までにおこなわれる衆院解散総選挙では、自民党道連が検討する自民道2区支部候補の公募に手をあげることを公表。
ただし補選では自民が候補擁立を見送り、2区支部も党員の自主投票を決めていることから、自民道連や2区支部への推薦などの支援は求めないという。
この自民地元組織への推薦をめぐって、実は一昨日、ドタバタ劇があった。
鶴羽氏とは道教育委員時代から知己があったという、日高地域選出自民道議の藤沢澄雄氏は15日月曜、自民道連の幹部に対して「鶴羽氏の道連推薦の検討」を求める旨の文書を提出。
だがこの行動に対して、2区支部の道議らは「寝耳に水の話。地元のわれわれをすっ飛ばして鶴羽氏への組織的な支援に動くとはどういう了見か」と激怒し、藤沢氏に詰め寄ったのだという。
道連幹部は「もし鶴羽氏に対して道連が推薦を検討するなら、まず地元2区支部経由で道連事務局に提出されるべきもの。幹部に文書を出しただけでは、手続き上からも認められるような話ではない。勇み足が過ぎる」と苦言を呈する。
藤沢氏も「結論から言うと(推薦を求める文書は)取り下げました。鶴羽氏にも地元のみなさんにも迷惑をかけてはいけないので」と申し訳なさそうに話す。
ただ一方で「鶴羽氏の陣営は選挙の実務経験がないメンバーばかりのため、自分にできることは影ながら応援をしていきます」と、個人的に支援をする方向という。
保守系候補としては、自民党員・同党政治塾生で弁護士の長友隆典氏が先に出馬を表明。すでに街頭演説など運動を活発化させている。
札幌市長選挙に2度出馬経験がある元総務省官僚で、現在は保守系政治団体代表の本間奈々氏の陣営も、16日に開かれた立候補予定者説明会に参加。日本維新の会北海道総支部も元道議会議員の山崎泉氏を擁立した。
リベラル系では立憲民主党公認候補の松木謙公氏と、共産党候補予定者の平岡大介氏の陣営で候補者一本化に向けた協議が始まった。
このほか諸派の小田々豊氏、齊藤忠行氏も出馬を表明している。
告示まで残り1カ月を切り、各陣営ともに水面下での活動が活発になってきた。月刊財界さっぽろ4月号では鶴羽氏についての補足情報なども取り上げている。道内書店・コンビニエンスストアのほか、以下の当社公式通販サイトなどからお買い求めください。
→Webでの購入はコチラ
→デジタル版の購入はコチラ