【特集全文掲載】核のゴミ騒動~寿都町・神恵内村高レベル放射性廃棄物最終処分場“文献調査”の衝撃~

 2020年8月、後志管内寿都町が、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」の最終処分場選定に向けた第一段階「文献調査」への応募を表明した。

 同年9月には、同じ後志管内神恵内村の商工会が応募の検討を求める請願を提出。翌10月に採択され、寿都とともに正式に名乗りを挙げた。

 11月中旬には、経済産業省が所管する原子力発電環境整備機構が両町村に対して文献調査を開始。そして今年に入ってからは、関係団体や住民などからなる委員との対話の場を設置するため、現地事務所もそれぞれ設けられた。

 この半年の間、両町村内でさまざまな動きがあった一方、とかく目に付くのが、地元マスコミやSNSなどを介した賛成・反対各論のヒートアップと、その結果もたらされた両派の深刻な分断だ。

写真左から寿都町長の片岡春雄氏、神恵内村長の高橋昌幸氏 ©財界さっぽろ

 寿都町長の片岡春雄氏は「泊原発のある後志から、核のゴミについての議論に一石を投じたい」「国民の間での議論を巻き起こしたい」という思いがあることを、月刊財界さっぽろ2020年12月号でのインタビューで明らかにしている。

 また神恵内村長の高橋昌幸氏も、本誌のインタビューに「原発による電力の恩恵を受けているにもかかわらず、最終処分場の問題から逃げ、議論しないのは、無責任だ」と断じた上で、村議会の請願を受けた上での行動であると説明している。

 いま現在も原発の敷地内で再処理を待つ核のゴミを、将来どうしていくのか、という根本の議論が置き去りされたまま、イデオロギーを振りかざすような争いをくり広げても、問題は一切解決しない。

 月刊財界さっぽろ2020年10月号では「特集・核のゴミ騒動」と題し、最初に文献調査へ手を挙げた片岡氏の素顔に迫ったほか、2000年制定の「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を根拠に慎重な対応を求めた、知事の鈴木直道氏や地元代議士らの行動をまとめた。

 また文献調査に応じることで最大20億円、第二段階の概要調査に進めばさらに70億円が国から下りてくる、という電源立地地域対策交付金が、いかに過疎の自治体にとって大きいかを示した表も掲載。前出の通り、同12月号では片岡氏・高橋氏の真意に迫ったインタビューも掲載した。

 ここでは、新型コロナウイルスの蔓延状況にもよるが、間もなく両町村で始まるという対話を前に、上記特集の全文を2月20日から25日に分けて掲載する。本特集を通じ、核のゴミを考える上での端緒にしてみてほしい。なお、いずれも内容は本誌の掲載時点でのものだ。

LINEUP

(1)“ビジネスマン町長”片岡春雄(寿都町長)の功罪

(2)179市町村財政力ランキングから読み解く「文献調査」交付金20億円の大きさ

(3)鈴木直道知事、メディア、反対派…調査名乗りに困惑する人々

(4)「まち、北海道、日本全体で核のゴミ問題を学びたい」寿都町長・片岡春雄氏の“願い”

(5)「“村民の思い”を抜きに私は決断できない」神恵内町長・高橋昌幸氏の背中を押したもの

 月刊財界さっぽろ2020年10月号・12月号はそれぞれ、以下の当社公式通販サイトなどからお買い求めください。

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