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今振り返る、私の思い出紀行 第十六回【さくらホーム社長 山本 道夫氏】

フランス・パリでのイベント会場でのスナップ。左端が私で、3番目が元谷外志雄APAグループ会長。

学びが多かったパリ市街の再開発見学の旅

 1970年代(昭和40年代後半)から、香港やフィリピン、台湾、韓国など、東南アジアを中心に訪れる機会がありました。多くは仕事関係で、取引先の呼びかけに応じて参加する旅行がほとんどでしたが、私が主催して行うものもありました。

 70年代は海外旅行が現在ほど気軽な時代ではなく、人数をまとめるために声をかけると、ずいぶんと喜ばれ、多い時は航空機1機をチャーターするほどの参加者が集まったこともありました。当時は1ドルが360円台。持ち出せる円も10万円程度で、主催者側になると、いろいろと苦労もありました。

 それでも参加者の皆さんや現地の人たちとの親近感溢れる交流もあり、業務の参考になる見聞も少なくありませんでした。

 義理の父から引き継いだ環境衛生関連機器メーカーの業務から現在の不動産関連の仕事からは、旅行の招待企業や目的も変わり、行く先も欧米などに広がり始めました。

 その中で、マンションデベロッパーやホテル経営で急成長したAPAグループが企画したフランス・ベルギーへの旅が印象に残っています。行ったのは2000年代になってすぐの頃で、日程は7日間。APAグループの元谷外志雄会長や帽子のCMでおなじみの芙美子夫人も参加されました。

 私は初めてのフランスでしたが、ちょうどパリの再開発が盛んな頃で、その様子を見学する機会に恵まれました。工事の中心になっていたのは観光客が足を運ぶことが少ない裏町で、表通りの名所なども多い旧市街地はそのまま保全する方針と聞かされました。

 今回のパリオリンピックでもそうした街並みのあちこちが紹介されていましたが、美術的にも評価の高い建物や、歴史的なエピソードのある建物の保全などに配慮している公共の姿勢には学ぶものがありました。

 私は独立して不動産業を営んでからかれこれ30年以上経ちますが、実際にのんびりと旅行ができるようになったのは、ここ2~3年のことです。私自身、今年で80歳を迎え、いつまでも仕事一筋ではなく、自分の時間を大切にし、併せて妻への感謝の気持ちを表す意味でも2人だけでの旅を楽しむことにしたのです。

 昨年は立山・黒部ダムを見学し、今年は東北四大祭りを楽しみました。青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、山形花笠まつり、仙台七夕まつりと、いずれも伝統と地域の人々の熱意に支えられる祭りです。どの祭りも夜がメインとなり、次への移動が夜間になるという、高齢者にとってはいささかきつい日程でしたが、お互いをいたわりつつ何とか日程をこなしました。

 改めて夫婦2人の旅の楽しさを実感し、次のプランを考える日々です。

さくらホーム社長 山本 道夫氏