今振り返る、私の思い出紀行 第十八回【高柳自動車サービスステーション社長 高柳 司氏】
国内外の伝統的祭りを研修の場として
北海道神宮例大祭や、ススキノ祭りの裏方らが集まってできた「さっぽろ豊祭会」なるグループがあります。発足は1995年(平成7年)で、活動歴はコロナ禍で中止した期間はありましたが、かれこれ30年近くになります。
メンバーは、ススキノ地区に居住し、仕事場がある〝祭り好き〟の集まりで、発足以来14~15人が年に一度、毎月1万円を積み立てて国内外の伝統ある祭り見学の旅を研修として続けています。
これまでの研修では、京都祇園祭や博多祇園山笠、岸和田だんじり祭、徳島阿波踊り、秋田大曲花火競技会、長崎くんち等々、いずれも地域を挙げて長い伝統と熱意に支えられている祭りを訪れています。また、海外では台湾の国慶節、韓国・釜山の世界花火大会などにも出かけています。
その中でも、何年か間をおいて同じ祭りを研修先に選んだ例もあります。これは毎年代わる会長に研修先決定の優先権があり、新会長自身が未訪問である以前の研修地を希望することがあるためです。
また、行程では祭りの開催地近くの名所・旧跡、寺社なども時間の許す限り、日程に組み入れるようにしています。祭りが京都であれば奈良へ行って大仏様を拝観したり、長崎くんちの時はハウステンボスへ寄ったりという具合です。
私もこれまで会長職を2回務めていますが、2001年の時はかねて念願の岸和田だんじり祭を研修先に選びました。この時はススキノ観光協会さんの協力で、最も迫力のあるとされる急角度の方向転換「引き回し」が目の当たりにできる桟敷席を確保することができました。民家すれすれに迫るだんじりの迫力は、今でも深く思い出に残っています。
この祭りは、実際に接触事故が多く、家が壊れたり、人身の事故も珍しくないのですが、そうしたことで次の開催が中止となることなく毎年続けられています。そこに参加者、地域、行政が一体となって守り続けている伝統の重みというものを感じずにはいられません。
豊祭会では名入りの半纏(はんてん)を作り、行く先々で着用して、ささやかながら札幌・ススキノのPRも続けています。いつとは決めていませんが、リオのカーニバル見物を最大の目標にしています。
札幌では、さっぽろ雪まつりやYOSAKOIソーラン祭りなどが有名で多数の観客を集めていますが、地域や市民との一体感、日本の祭りの原点にある神社・仏閣への敬虔な気持ちという点では、全国各地の伝統ある祭典には及ばないと思います。
ススキノも昨今、様変わりしていますが、祭りの伝統を育てていく活動を絶やさないことは、地域の発展にもつながっているのだと確信しています。