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今振り返る、私の思い出紀行 第十七回【時計台バス社長 木村 高庸氏】

台湾・嘉義市中心部にある噴水ロータリーには、嘉義農林学校エースだった呉明捷の像が設置

台湾野球の栄光と伝統に魅せられて

 台湾の野球熱と伝統に興味を持ち、2016年3月に5日間の日程で南西部の都市・嘉義(チャイー)に一人旅に出ました。

 台湾の野球に興味を持ったのは14年に公開された台湾映画「KANO1931海の向こうの甲子園」を観てからです。

 台湾が日本の統治下にあった1931年(昭和6年)

の夏の第17回全国中等学校優勝野球大会(現在の高校野球・夏の甲子園大会)に、台湾代表として出場したのが「嘉義(かぎ)農林学校」でした。

 同校は順調に勝ち進み、準々決勝では札幌商業に19対7と圧勝。決勝で中京商業に敗れたものの、準優勝は当時の台湾としては栄えある出来事として賞賛されました。

 特にエースの呉明捷投手の活躍は今も語り継がれており、嘉義市中心部の噴水ロータリーには彼の銅像が建てられています。この銅像を見て、写真撮影することが旅の一番の目的でした。

 嘉義農林学校は、現在の国立嘉義大学の前身となり、伝統と栄光が引き継がれているということです。

 旅の最大の目的を果たした後は、このロータリーからすぐ近くの「文化路夜市」という繁華街を訪れました。安くて美味しいB級グルメの店が連なっているところです。絶対に欠かせない嘉義名物の「鶏肉飯(ジーロファン)」から始め、台湾スイーツ「豆花(ドウファー)」「小籠包」を楽しみました。どれも美味でしたが、一人ではあまり多くを注文できないのが残念でした。

 食後の散歩では、日本統治時代の「嘉義神社跡」が残されている嘉義公園や、日本家屋復元建物群などをゆっくりと見て回りました。

 翌日は在来線鉄道で、のんびりと北西部の桃園まで約3時間の旅を楽しみました。日本の昭和時代の鉄道旅そのものでした。

 桃園ではこの年の旧正月イベント「ランタンフェスティバル(灯会)」が行われおり、干支のサルを始めとする行燈が華やかにイベントを盛り上げていました。

 最後の訪問地は台北から1時間ほどの観光地「九份(ジョウフェン)でした。ここは何回目かの訪問で、過去には経験しなかった夜の雰囲気を楽しもうと、民宿に泊まり、ナイトウォーキングで明かりのついた小道を散歩し、締めくくりとしました。

 この旅は新千歳から台北への直行便を利用しましたが、往復航空券が何と2万8000円と低価格で、今では夢のような料金で実現することができました。

 コロナも治まり、旅行も正常化してまいりましたので、また機会を見て台湾の魅力を楽しめる旅に出たいと思っています。中でも国立台湾史前文化博物館があり、環太平洋の少数民族に共通する文化が学べる東南部の台東市を次の目的地候補と考えています。

時計台バス社長 木村 高庸氏
台湾ランタンフェスティバルで登場した巨大ランタン