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今振り返る、私の思い出紀行 第十五回【芽生コーポレーション社長 種﨑 朝啓氏】

サンフランシスコにあるゴールデン・ゲート・ブリッジを背景に撮影した記念写真

世界トップの物流拠点を訪れたアメリカ研修旅行

 1989年(平成元年)の3月29日から4月8日までの11日間、勤務先である大手運送会社の研修で訪れたアメリカ旅行が、私にとっては一番思い出深い旅となっています。

 この時はちょうど4月から消費税(3%)がスタートする年で、また、私自身も初の海外旅行ということもあって特に印象に残っています。

 参加した研修旅行はいわゆる〝インセンティブツアー〟と呼ばれる成績優秀者を集めた旅行で、この時は全国から42人が選ばれ、北海道からは私一人が参加しました。

 旅程は、サンフランシスコ~ナイアガラフォールズ~ニューヨーク~メンフィス~ラスベガス~ロサンゼルスと、アメリカの東西を回る豪華なものでした。

 仕事関係では、テネシー州メンフィスにあるフェデラルエクスプレス社を公式訪問したのが印象に残っています。訪れた頃は航空貨物輸送の最大拠点となっており、すでに世界各地とのめざましい輸送実績を誇っていました。日本ではようやくトラック輸送が伸びつつある時代でしたから、その規模、システム、実績を聞き、活気に溢れる実情を目の当たりにして圧倒されました。ちなみにメンフィスはロックの本場としても有名で、エルヴィス・プレスリーが活躍していたところとしても知られています。

 また、ニューヨークで宿泊したホテルではロビーのガラスに穴が空いていて、尋ねてみると銃弾によるものと聞いて驚いたことを思い出します。添乗員からは「なるべく一人歩きはしないように」との注意もあり、改めて銃社会、多民族社会の怖さに触れた思いでした。

 観光地では、ナイアガラの滝のスケールの大きさとすさまじいばかりの景観が印象に残っています。ちょうど雪解けの時期でしたので、大きな雪の塊が流れ、砕け散る迫力に圧倒されました。ナイアガラには大橋巨泉さんが経営するギフトショップもあり、結構な賑わいを見せていました。数店のチェーン経営ということで、大企業でなくとも日本人の世界進出の実態に触れて感心した思い出があります。

 ちょっとがっかりだったのは食事です。日本人シェフのレストランへ案内されたのですが、評判ほどではなく、これはロサンゼルス、ラスベガスでもあまり変わりませんでした。

 その後、私は運送業界から離れましたが、今思うとこの旅行の頃はまだバブル真っ盛りで、社会全体が大きな変化の時代だったと思います。

 当時、運送業界も激しい競争の中にありましたが、そうした中で夢中で働き、思いがけない評価をいただいて、見聞を広める機会に恵まれたことは、今振りかえると大変ありがたかったと感謝しています。

芽生コーポレーション社長
種﨑 朝啓氏