札幌定温運輸

道産食材を全国に配送し食の魅力を伝える。新センターの完成も間近
冷蔵冷凍の食肉や乳製品、農産品、水産加工品などの配送と保管が主事業の「札幌定温運輸」。定温輸送で全国大手の「福岡運輸」(本社・福岡県)グループの傘下として、道内全域と本州の幹線輸送を担う。
さまざな品目を扱う中、道外に出荷される食肉の6割の輸送を担うなど〝鮮度が高くおいしい〟という道産食品の価値向上に貢献している企業だ。
顧客は大手食品メーカーをはじめ、300社を越える。2025年3月期の売上高は75億円を見込み、冷蔵冷凍品の保管と配送に特化した道内の物流企業では、トップクラスの業容だ。
今年4月から現職に就いた浦田昭蔵社長は「当社の仕事は黒子ですが〝社会に必要なもの〟です。安心安全な食品を届けるために、より一層のサービス向上を目指しています」と語る。
その一環として、新社屋と新センターを建設中だ。完成は25年6月で、場所は札幌市西区発寒11条12丁目。敷地面積は現在の2倍相当の1万8990平方㍍を誇る。
マイナス25度から5度まで対応した最新の冷蔵冷凍倉庫と自動倉庫を備え、荷物の保管量を6倍に拡大。倉庫内には86台のカメラを設置し、荷物の積み下ろしなどをリアルタイムで把握できるようになる。
また、新センターには、小樽市に本社を置く子会社「北海定温運輸」も移転予定で、機能集約により、配送効率の飛躍的な向上にも期待がかかる。
一方で、人材不足が著しい業界の課題にも切り込む。9月には浦田社長を筆頭にしたプロジェクトチームを発足。DX化を中心とした生産性の向上を軸に、課題解決を図っていく狙いだ。
このほか、浦田社長は社員満足度の向上にも注力。本社と営業所で従事する全社員との面談を実施し、一人ひとりの意見や考えをヒアリングした上で、業務や仕組みづくりを実施。事業部の垣根を越えた交流も推進するなど、働きやすい環境整備に全力を注ぐ。
「従業員の意見やアイデアは大切な資産といえるため、ボトムアップに努めています。働きやすい職場にすること、ひいては北海道ブランドの食の発信を加速させるよう尽力していきます」と浦田社長は語る。


