札幌定温運輸
道産食材の物流に欠かせない存在。新センター建設にも着手
〝食〟の配送と保管が主事業の「札幌定温運輸」。冷蔵冷凍の食肉や乳製品、農産品、水産加工品などを取り扱う。定温運輸全国大手の「福岡運輸」(本社・福岡県)グループの一員として、道内全域と本州の幹線輸送を担っている。
顧客は大手食品メーカーをはじめ、300社を越えており、売り上げも順調に推移。コロナ禍以降、畜産品の取扱量の増加に加え、冷凍食品市場の規模が拡大するなど、定温運輸の需要も大幅に拡大。2024年3月期の売上高は約72億円を見込み、冷蔵冷凍品の保管と配送に特化した道内の物流企業では、トップクラスの業容を誇る。
効率的な輸送と商品の品質保持に独自の施策を駆使する同社では、小口共同配送から貸切配送に対応。集配ルートを最適化するクラウド型の車両動態管理システムなどの導入により指定の日時、場所に納品するジャストインタイムを実現。
また、輸送システムと連動した、独自の倉庫システムでは、入庫から納品までを一元管理。
倉庫内は外気流入を完全にシャットアウトするシェルターを採用するなど、独自の倉庫安全衛生管理基準を制定して業界最高水準の品質管理を徹底している。
受注増を背景に同社では、本社屋と新センターの建設も進めている。場所は札幌市西区発寒11条12丁目。敷地面積は、現在の約2倍に相当する1万8990平方㍍を誇る。JR「発寒」駅から徒歩5分程の利便性が高いエリアで、完成は25年6月を予定している。
荷物を積み下ろすバースを現在の17から25に増強するほか、保管量は6倍に拡大。5度からマイナス25度まで対応した最新の冷蔵冷凍倉庫と自動倉庫も備えている。
平山真也社長は「新社屋には道内配送がメーンで小樽市に本社を置く子会社の『北海定温運輸』も移転予定で、機能集約でより連携を深めることもできる」と自信を見せる。
また「JR駅にも近く通勤の利便性が上がったことで、採用面でもプラスになると考えている」と語る平山社長は、労働環境改善にも積極的だ。昨年7月には運送事業者向けの「働きやすい職場認証制度」の二つ星を取得。ベースアップや、残業時間の削減などにも注力している。
「ドライバーの地位向上と業界の発展を両立し、北海道ブランドの食品物流のお役に立ちたい」と平山社長は未来を見据える。