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高瀬工業

農業土木に豊富な実績を誇る

〝人が定着する会社〟に変貌し、成長を加速

 全国的に労働人口の減少が加速する今、〝人が集まる会社〟が永続の条件とも言われている。そんな中、本社を構える美唄市でいち早く次世代の人材確保に動き出したのが、農業土木工事を手がける「高瀬工業」だ。

 同社は1949年に創業し、今年で創業75年を迎える美唄の古参企業。家業を継ぐため、2012年に3代目となる高瀬健秀社長が入社したタイミングで、採用強化にシフトした。

「当時、一般社員として入社しましたが、次期社長という立場でさまざまな社内改革に取り組みました。採用面もその1つで、社員の高齢化が目立ち、『このままではまずい』と優先すべき重要課題として人材確保に動きました」と高瀬社長は振り返る。

 当時は、現在の売り手市場とは異なる市況。特に地方都市は企業側が主導権を握る場合も多く、求職者から〝選ばれる〟意識は低い時代だったという。

「新人が入社してもどんどん辞めていくわけです。そこで労働条件や待遇の改善が必要だと痛感し、整備を進めました。人が辞めていく会社だったからこそ、結果的にいち早く対策を講じられました」と高瀬社長。

 20年にトップに就いてからは、さらに従業員ファーストを推進。資格取得の支援制度で従業員のスキルアップを応援しているほか、昇給は月ごとに検討する。評価のタイムラグをなくすことで、パフォーマンスのさらなる向上を図っている。

 これにより待遇面では、例えば重機オペレーターの場合、20代で年収500万円を超えるケースも少なくないなど、美唄屈指の給与水準を誇っている。また、子ども手当の拡充や社宅制度、社用車貸与など、福利厚生も年々充実。こうした取り組みが実を結び、現在は〝人が定着する企業〟へと進化を遂げている。現在は20代の若い社員が数多く活躍するほか、女性社員も複数在籍している。

 一連の取り組みは、盤石な経営基盤があってこそ実現可能といえる。主事業の農業土木工事に加え、近年は自社の土取り場から採掘した建設用の土の販売が堅調に推移。冬季は美唄市の市道の除雪を担っており、除雪を分担する企業の中で最も長い距離を担当するなど、毎年安定的な受注によって好業績を収めている。

「社員への還元をはじめ、重機の購入などの設備投資はもちろんですが、利益をいかに活用するかを検討しています。当然、建設分野のM&Aなども視野に入れています。現状維持では会社は衰退し、従業員への還元もできなくなる。元請け案件の割合を増やすための施策を講じたり、商圏を拡大するなど、業容拡大に向けて積極的にチャレンジしていきたい」と高瀬社長。

高瀬健秀社長
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