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来春開院。「カレス記念病院」の説明会を実施

従来の発想にはない新病院の特徴が発表された

社会医療法人社団カレスサッポロ(札幌市・大城辰美理事長)が、8月6日に札幌市内のホテルで来年4月開院予定の「カレス記念病院」の説明会を開催した。独自の発想と工夫が集約した新病院の概要が説明された。

 新病院は、カレスサッポロが展開する北光記念病院と時計台記念病院などの医療施設を集約。開院に向け現在、札幌駅東口から徒歩10分の東区北6条東3丁目で順調に工事が進んでいる。

 取引先や関係者など約370人が集まった説明会で大城辰美理事長が強調したのが「発想と工夫が集約されたインテリジェントホスピタル」というコンセプトで、「ダ・ヴィンチモール」「全室個室」「スーパーセル看護方式」「デジタルによる経営の可視化」が特徴だ。

「ダ・ヴィンチモール」とは、新病院に併設される医療モールの名称で、別法人による13科のクリニックが入居を予定する。新病院は各クリニックと病診連携を取ることで治療や検査、急性期医療機能に特化。外来機能と入院機能が完全に分離される。

 これは大城理事長が約30年間温めてきたという構想で、診療機能の充実と向上とともに経営のスリム化・合理化を実現するものだ。

「全室個室」と室料差額の無料化も大きな特徴となる。

 大城理事長は「1970年代から85年の第一次医療法施行まで、国策として病院建設が進められ、医療費増大でその後に病床が制限された経緯がある。この間、日本の医療は提供する側の論理が優先し、利用者である患者への対応が希薄だった。大部屋での入院治療のストレスを配慮して320床全室を個室とした」と解説。

〝患者ファースト〟を具現化した病室は全て20平方㍍以上と一般的なホテルのシングルルームより広く、消灯時間や空調などプライバシーを確保。感染症対策にも有効なほか、病室の男女区別が無いためベッドコントロールが容易で病床の稼働率向上にも繋がる。

 また、「スーパーセル看護方式」は、病棟に配置された看護師、薬剤師、管理栄養士、医療事務、MSWなど複数の職種が協働で患者に対応する方式のこと。

看護業務の動線や記録、報告、配置などの無駄を省き、看護師の負担減や患者に寄り添う時間を増すといったメリットを生む。新病院ではナースセンターを廃止し、看護師だけではなく医師やコメディカルが患者を囲み、すぐに駆けつけられる体制が構築される。

「デジタルによる経営の可視化」では、コントロールルームで人員や施設の稼働状況、コストなど院内のあらゆる情報をリアルタイムで集中管理。業務と経営の効率化が図られる。

 このほか災害対応も万全を期しており、北ガス札幌発電所中央エネルギーセンターと直結して停電リスクを低減するほか、大災害時には多目的のカレスホールに酸素施設を設置して250人規模の患者に対応。感染症対応病床18床も備える。

 大城理事長は「医療スタッフ、利用者に最適な環境を提供する。前例にない発想と工夫を集約した新施設で医療のイノベーションモデルを構築していく」と新病院の意義を説明した。

壇上で新病院のコンセプトを解説する大城辰美理事長
関係者など約370人が出席した