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H.Eエナジー

同社が施工したむかわ町の営農型太陽光発電

2050年のゼロカーボン実現へ太陽光発電で切り込む

 電気料金の高騰は企業経営にも影響を与え、自家消費型や初期費用をかけずに太陽光発電設備が導入できるPPAモデルを検討している企業も多い。とくに、PPAモデルは電力の需要家が所有する建物の屋根や遊休地をPPA事業者に貸し、そこに太陽光発電設備を設置して再生可能エネルギー電気を調達するシステムで、近年需要が高まっている。

「H・Eエナジー」は、幅広いプランで企業の太陽光発電設備の設置をサポートするベンチャー企業だ。23年2月に宮城県仙台市、12月には東京都千代田区に支店を開設するなど、営業エリアを拡大中。野立て発電の年間施工実績は200件を超え道内トップシェアを誇る。

 大型案件も続々と手掛けており、昨秋からはコープさっぽろ(本社・札幌市)の「太陽光発電による全店舗への電力自己託送のプロジェクト」に参画。伊藤忠エネクス(本社・東京都千代田区)と共同で、道内200カ所の太陽光発電所設置を土地選定から建設まで担当している。

 今春からは、東京都に本社を置く大手再エネ企業と協業で、国内食肉加工大手の太陽光発電設備(青森県)の設置工事が始まった。PPAモデルを活用し、今年度中に函館市や伊達市など道内7地域で、合計2000㌔㍗アワーの発電設備が完成する予定になっている。

 また、9月からは清水鋼鐡(本社・千葉県浦安市)の苫小牧製鉄所で自家消費型太陽光発電設備の工事がスタート。稼働後は、年間で約47㌧のCO2が削減される見込みだ。

 各地でさまざまな案件が進行するなか、再エネ事業の将来を見越して風力発電や電力小売、海外進出など業容拡大に向けた準備も進めている。

 瀬尾浩史社長は「北海道では、50年までにゼロカーボン実現を目指す『ゼロカーボン北海道』を宣言しています。脱炭素に向けたライフスタイルやビジネススタイルの転換を呼びかけていますが、これを実現するには今の10倍以上の太陽光発電設備が必要です。しかし、自然を破壊しては意味がない。例えば農業との共存が可能なソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)などを提案し、クライアント企業とともにゼロカーボン実現を目指していきます」と語る。

ラルズ(本社・札幌市)の生鮮流通センターの太陽光設備も担った
瀬尾浩史社長