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大壮運輸

採用の基準は〝真面目にコツコツ取り組める人かどうか〟だ

人と物をつなぐ大切な業務。関連企業含め売上高は45億円超

業務を通して社会を支える実感が得られる

「大壮運輸」は、雑貨などの生活必需品の輸送に特化した企業。1965年の創業で、来年は60周年の節目の年を迎える。右肩上がりの成長を続けており、2023年度の売上高も前年度比109%を達成した。

 車両は大型ウィング車33台、パワーゲート付きウィング車12台、トレーラーヘッド20台などを保有しているが、減価償却や資産保有の観点から比較的新しい中古車を中心に購入している。

 主要取引先は、国内大手ドラッグストア、スーパーなどで、昨年10月には国内最大手家具・インテリアチェーン、今年4月には国内大手電化製品メーカーからの依頼も受注した。顧客からの評価も高く、新規取り引き開始後に依頼する量を増やす荷主も多い。

 豊島修治副社長は「プロフェッショナルな意識を持つ社員が成長をけん引しています。法令に則った安全運転を大前提として、荷主さんのニーズに応えることを徹底し、真面目に働いてくれるドライバーばかり。本当に社員は財産だと感じています」と語る。

 同社では、運送業界未経験を含め採用も積極的に行っている。現在活躍しているドライバー約50人のうち8割が中途入社で、今春入社した4人のうち2人は未経験者だ。

「人と物をつなぐ魅力的な仕事です。トラックドライバーは日本の物流を支える上で必要不可欠ですし、目立つ仕事ではありませんが、お客様から感謝されることも多いです。仕事を通して、現代社会を陰から支える実感を感じられるのではないでしょうか」と豊島副社長。

〝社員は財産〟として〝社員ファースト〟を掲げる同社では、ドライバーの安全と命を守ることはもちろん、社員のワーク・エンゲージメント向上も重要と捉えており、福利厚生の充実にも力を注ぐ。

 ドライバーの勤務は4週6休が基本。事前の申請で連休を取ることも可能で、もちろん有給休暇・慶弔休暇も用意されている。

 また、業界では珍しい「退職金制度」も導入している。ドライバーに対する生命保険を活用した退職金制度で、積立金は会社が負担している。「働いてくれたことに感謝したい」という同社ならではの思いの表れだ。

 さらに、年3回支給する「無事故手当」は、大型車で1回2万5000円、1年間無事故の場合は計7万5000円が支給される。ほかにも、入社後1年以上の社員には「結婚祝い金」や「出産祝い金」(各3万円)も用意。トラック全般免許の取得を会社が補助する「キャリアアップ補助」は、2週間の合宿免許スクールに係る費用を全額同社が負担する。このほか「運行支度金」などもあるうえ、社会保険も完備しており、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金に加入。仕事量に応じて残業もあるが、労働基準法の遵守に努めている。

親身かつ丁寧な指導で、1カ月後には独り立ち

 ドライバー教育の専門部署を設置しているのも同社ならでは。入社後は充実した研修を実施している。

 豊島副社長は「1カ月間の研修で、トラック運転の基本や荷物の積載時の危険行為などを座学で学んでもらいます。その後、先輩ドライバーの車両に同乗してマンツーマンの指導を受けます。荷主さんごとにさまざまなルールがあるため実践の中で身に付けるほか、配送ルートを覚えていきます。人によって覚える速さは異なりますが、早ければ3週間程でドライバーとして独り立ちが可能です。ドライバーとしてまだ未熟と判断されると、研修は1カ月半くらいになりますが、独り立ちした後も不安のないよう丁寧に教えていきます。もちろん、経験者は研修期間がさらに短くなることもあります」と話す。

 研修終了後は、日勤や夜勤のほか大型車への配属など働き方の選択肢が複数あり、社員の希望を優先しつつ適材適所で配属先や配送ルートが決定される。

 すべての車両には安全装置を導入。デジタル式運行記録計をはじめ、車線逸脱警報装置、BSW(後側方車両検知警報)、ABS(アンチロックブレーキシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)、居眠り&脇見運転警告システムなどで安全運行をサポート。ドライバー本人だけではなく、安全な帰宅を待つ家族からも高い評価を獲得している。

 豊島副社長は「毎年、70人程が求人を見て応募していただきますが、運転技術は入社後にいくらでも身に付けることができるので、採用の基準は真面目にコツコツ取り組める人かどうかです。重要なのは、与えられた仕事を、与えられた時間の中でしっかり取り組むことです」と話す。

 同社では、事業拡大に伴い年内を目処に札幌市北区新琴似に営業所の開設準備を進めている。開設後は、本社のある江別市方面だけではなく、札幌市北区や西区、手稲区、石狩市方面に在住の人も通勤しやすくなる。

 一方で、大壮運輸は関連会社を含めて小売・卸売、サービス業、環境事業などの自動車関連事業を幅広く展開している。関連会社を合わせると年間売上高は45億円規模となっており、経営基盤の安定性も高い。

 さらに主体の運送事業は路線拡大が進んでおり、3年以内の関東圏への進出も視野に入っている。トラックドライバーはその成長の一翼を担うというやりがいもある。

「当社は定着率がいいのも特徴です。そのため、あくまでも事業拡大のための増員を推進しています。同業他社からも若い幹部候補社員が集り、体制を再構築しました。企業ミッションは〝モノと想いを載せて走る〟こと。人々の生活に欠かせない大切仕事で自らを高めてほしいです」と豊島副社長。

豊島修治副社長
すべての車両には安全装置を導入。帰宅を待つ家族も安心できる
運転前は点検を欠かさない
社屋はリフォームしたばかり。ミーティングルームも綺麗だ