ほっかいどうデータベース

今振り返る、私の思い出紀行 第十三回【陶氏診療院 陶 恵栄氏】

網走湖畔「夕陽の家」でのワンショット。右端が私で、中央が宿の主人

30年前、軽自動車で道東を回った〝夢の旅行〟

 私は祖母が函館出身の日本人で、中国上海市生まれの日系三世です。1986年に中国第二軍医大学医学部を卒業して中越国境紛争の軍医などを経験した後、上海市内の病院に勤務。その後、94年に北海道大学医学部の大学院博士課程に合格して、98年に博士号を取得し卒業。同年札幌市内に診療院を開設して中国医学伝統自然療法の施療を続けています。 

 旅といえば、大学院時代の2年目。95年春のゴールデンウイークに家族、友人と回った道東方面の旅行が北海道を深く知るきっかけとなり、今も強く印象に残っています。

 一緒に回ったのは私たち夫婦と弟夫婦、姉の5人に、上海の病院で一緒だった日本に留学中の中国人看護師2人の全7人です。私と弟の軽自動車2台で2泊3日、走行距離は1200㌔㍍、宿泊はテントと民宿という貧乏旅行を行いました。行く先々では初めて目にする風物や、親切で愉快な人たちとの出会いがあり、30年経った今も〝夢の旅行〟として忘れられません。 

 当時、世界一長いとされた帯広の400㍍ベンチ、釧路湿原の丹頂の里、阿寒湖や知床5湖の美しく静かなたたずまいからも、自然の見事な創造力が伝わってきました。 

 網走では、後に中国でも人気となった高倉健さんの映画の舞台となった網走刑務所の観光施設で、入牢体験などをしました。ただこの時、鉄格子の中に入って撮った記念写真が「いくら観光施設でも牢に入るとはみっともない」と母から

陶氏診療院
陶 恵栄氏