會澤高圧コンクリート
「蓄電コンクリート」の社会実装で脱炭素を加速させる
「會澤高圧コンクリート」は、国外からも注視されるコンクリートマテリアルのプロ集団。今年の上半期も海外との提携の動きが際立った。
〝コンクリート×テクノロジー〟がモットーの同社。會澤祥弘社長が目下着目しているのが蓄電コンクリートだ。
4月には、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)が研究する電子伝導性炭素セメント材「ec3」の社会実装に向けて、共同開発を行う「ec3コンソーシアム」をMITと共に設立した。このec3は、炭素の微粒子「カーボンブラック」をコンクリート系素材に添加することで、発熱性や蓄電性を持たせることができる画期的なセメント材。「つまりコンクリートをバッテリーそのものに換えるテクノロジー」と會澤社長は語る。
コンクリートに通電させ、CO2を出さない道路融雪を実現するのが第一フェーズ。今冬に札幌市内で実証実験を行う。第二フェーズには住宅やインフラ向け「蓄電コンクリート」の実用化を設定した。
一方、洋上風力事業も進展。フルコンクリート製グリーンアンモニア製造艦「MIKASA」の実証艦建造を加速させるため、「MIKASA製作委員会」を4月に旗揚げ。大学・研究機関、電気事業者、スーパーゼネコンなど約40社とともに、2028年末の実証艦進水に向けて準備を進める。
會澤社長は「今まで人々の生活を支えてきたのが道路。これからは、EEZ(排他的経済水域)に大量に浮かぶコンクリート製の浮体が、海を多目的に利用する新たな時代をひらきます。海洋構造物は『エネルギー』『食料』『安全保障』のすべてに寄与できる。マインドセットの切り替えが必要です」と話す。
さらに、代名詞となった自己治癒コンクリート「バジリスク」の技術提供先は、今春で全国50社を突破した。さらなるコンクリートの可能性を探求し、テックをテコに業界の最前線を走り続ける。