ほっかいどうデータベース

丸ウロコ三和水産

衛生管理が行き届いた工場でホタテを丁寧に加工

地域を元気に。攻めの経営で地場産業を守る

 漁師がいなければ食卓に海産物は並ばないが、商品化のプロである水産加工会社が担う役割も極めて大きい。

 紋別市に本社を構える丸ウロコ三和水産は、道内の海産物を取り扱う水産加工会社。オホーツク海でとれるホタテやカニなどを加工処理し、商社や量販店、外食チェーンに販売している。

 仕入れ先も着々と拡大しており、紋別のほか、オホーツク海沿いの興部町沙留、雄武町、湧別町など複数の漁業組合と取り引きし、ホタテなどの人気海産物を一定量確保している。2022年には浜頓別町の「マルヨ横田水産」を、今年4月には枝幸町の「壽綜合商事」を傘下に収め、オホーツク全域で6単協からの仕入れ体制を確立した。

 24年度のグループ連結の売上高は90億円を見込み、主力商品のホタテの取扱量は1万㌧を突破する見込みだ。山崎和也社長は「温暖化による水産資源への影響はこれから拡大するでしょう。南から温暖化は進んでいますから、紋別以北の仕入れ先を確保することでリスクヘッジにつなげたい」と話す。

 また、近年のM&A攻勢の背景には、地方都市ならではの深刻な人手不足があるという。

「特定技能制度で外国人の力を借りようとしても、住まいを用意するなど福利厚生を充実させないといけない。体力がない会社は十分な待遇を用意できず、慢性的な人手不足に陥ります。たとえ後継者がいたとしても〝継がせたくない〟という声も聞きます。微力ながらも当社が事業を継続することで、地域の産業を守っていきたい」と山崎社長は説明する。

 地域の発展が労働力の確保につながると捉え、官民一体となったイベントや広報活動も積極的に展開中だ。昨年12月には浜頓別町を舞台にした短編映画「オホーツク流氷物語第二章―紋別・浜頓別から世界へ―」の撮影に全面的に協力。今年12月に開催されるふるさと映画祭で上映される予定となっている。

 一方、21年からは一般消費者への販売もスタート。ECサイトの運営やふるさと納税返礼品としての採択、自社ブランドの立ちあげによる6次化事業も推進している。また、今年3月には2棟目となる従業員用の寮を新設したほか、翌4月には札幌市内の拠点としてオフィスビルを取得し、グループ本部としても各社を統括していく。さらに25年には「横田水産」の新工場の完成も控えるなど、〝攻め〟の経営を実践している。 

オホーツク全域で6単協から原料を仕入れている
山崎和也社長
4月に取得したオフィスビルは、グループの本部が入る