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上田商会がネイチャーポジティブ推進で森林を取得

上田商会本社

コンクリート製品開発・製造の上田商会(本社・登別市、上田朗大社長)が昨年末に石狩市厚田区の森林を取得。森林保全によるネイチャーポジティブの推進に取り組む。

 上田商会は1925年の創業以来、土木用や建築用などのコンクリート製品を製造・販売。社会インフラの整備に貢献してきた。

 セメント製造のプロセスでは、必然的にCO2が発生するため、同社では「気候変動問題への対策」を経営の最重要課題の一つに据え、2045年までのカーボンニュートラルに向けたロードマップを策定。これまでにも、低炭素型エシカルコンクリート「TUTUMU (ツツム)」の開発や配合の切り替え、再生可能エネルギー使用比率の向上や燃料転換などを実施してきた。

 一方でセメント以外に砕石や砂などの鉱物を使用することから、ネイチャーポジティブの推進に向けた取り組みも必須だった。

 ネイチャーポジティブとは自然資本の毀損に歯止めをかけ、回復軌道に載せる取り組みのこと。

 さまざまな方法があるなかで同社では「森林の保全活動」を選択した。石狩市森林組合と協議し昨年末に石狩市厚田区の12万5010平方㍍の森林を取得した。CO2吸収量は年間52㌧と推定される。

 森林の取得の理由について同社は「水源や生態系の回復などに加え、森林産業の活性化も重要と考えました。労働力不足など林業市場が縮小するなか、適正な伐採と再造林の確保に取り組みたい。今後も豊かで安全安心な社会の実現に貢献します」としている。