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地域の子どもたちへ記念事業を実施、末廣屋電機が創業100周年

1924年に創業した「末廣屋電機」(本社・札幌市)は、11月13日に100周年を迎えた。独立系の電気工事会社として道内トップクラスの規模を誇る同社は、これまで数々の経営的な困難を乗り越えてきた。今日までの歩みと100周年記念事業に込めた思いについて5代目の猪股浩徳社長に聞いた。

顧客と社員に支えられて創業100周年

 ――まずは御社について教えてください。

猪股 当社は1924年に祖父の猪股徳次が滝川市で、家電販売・修理店「末廣屋電気商会」を設立したのが始まりです。電設資材販売を経て、現在は電気工事が主力事業です。

 道内15カ所のほか、東北、東京、福岡、沖縄に拠点を置き、全国の公共施設や病院、トンネル、道路照明、学校、ホテル、工場など数多くの大型プロジェクトを手掛けています。また、道内4カ所の空港で滑走路などの航空灯火設備の保守・点検も行っています。

 この他にも、地域の皆様の電気に関するお悩みをサポートする「住まいのおたすけ隊」という個人向けサービスも展開しています。

 ――11月13日で、創業100周年を迎えました。

猪股 電気工事のプロフェッショナルとして、地域の暮らしを支えることを使命に創業から歩んできました。100年続けてこれたのは、お客様と社員、そしてこれまで当社と関わってくださったすべての皆様に支えられてのことです。心より感謝を申し上げます。

 ――今日までの道のりでは、いくつもの困難があったと聞いています。

猪股 建設業法の改正や公共予算の削減、リーマンショックなど、建設業界を取り巻く環境の変化による影響もありましたが、一番苦しかったのは、2007年の会社分割です。当時は本業の電気工事業を主軸としながらも、ホテルや不動産など異業種にも参入してました。社会的な影響もあり、グループ全体の業績が悪化し、当社も含めて全体の資金繰りが厳しくなっていました。背に腹は代えられず、苦汁の決断でしたが、会社分割しました。言わば事実上の倒産でした。このような状況に陥ったのは我々経営陣の責任であり、社員から見切りをつけられても当然だと思っていましたが、当時の社員の9割以上が会社に残ってくれて、会社再建のために一丸となって尽力してくれました。この恩は一生忘れませんし、一生をかけて恩返ししていくと強く誓いました。

子育て支援をテーマに記念事業を開催

 ――100周年記念事業を実施されたと聞きました。

猪股 第一弾は、これまでお世話になった空知管内の地方自治体への「子ども・子育て支援寄付事業」です。23年11月に当社発祥の地である滝川市に900万円を寄付させていただき、同年12月に夕張市、美唄市、赤平市、雨竜町、新十津川町、浦臼町には一律で100万円を寄付致しました。これらの寄付金は未来を担う子どもたちのために使ってほしいという思いで、教育や子育て支援に限定させていただきました。

 第二弾は、24年4月に滝川市内と近郊の少年野球チームに所属する子どもたちと保護者の約100人を招き「北海道日本ハムファイターズ親子観戦ツアー」を開催しました。エスコンフィールドで試合観戦をした後、グランドウォークやラウンジでの夕食会、日ハムOBの鶴岡慎也さんによるトークショーなどを実施して大好評でした。参加した子どもたちから感謝の手紙もいただき、やって良かったと実感しています。

 地域に育てていただいて今があるので、今後も地域の子どもたちに向けた社会貢献を継続していきます。

 ――社員に向けた祝賀会も開催されました。

猪股 社員は会社の財産です。日頃の感謝の気持ちを伝えるため、社内で祝賀会を開催しました。OBやご家族もご招待し、当日は約160人が出席してくださいました。忘れられない1日となりました。

 また、社員のご家族も招いて、ハワイ、沖縄、関西の3つの地域から選べる社員旅行も実施しました。  

 単発的なイベントにとどまらず、社員の待遇や評価制度を通じて、日々の努力に対する還元を行うことが最も重要です。今後も、風通しの良い職場環境を整え、社員が「ここで働いて良かった」と思えるような組織改革に取り組んでいきます。

〝未来に煌めきを〟をテーマに、次の100年に向けて社員とともに、社会に貢献し続ける企業でありたいと決意しています。

空知管内7市町村に計1500万円を寄付
同社主催の「北海道日本ハムファイターズ親子観戦ツアー」の様子
電気工事を担当した「国立アイヌ民族博物館」