時計台記念病院
AIも駆使。消化管の内視鏡検査と手術を実践
極めて公共性の高い医療法人である「社会医療法人」に認定されているカレスサッポロ(大城辰美理事長)。その中核をなすのが時計台記念病院だ。
内科や形成外科、脳神経外科、婦人科など27科を標榜。高度かつ専門的な医療を提供する同院の消化器内科の陣頭指揮を執るのが田沼徳真消化器内科部長だ。胃や食道、十二指腸、大腸などの消化器疾患に対して主に内視鏡を用いた検査と手術を行っている。
札幌医科大学卒業後、恵佑会札幌病院、佐久総合病院、手稲渓仁会病院などを経て、がんをはじめとする消化器疾患に多くの治療実績を積み重ね、今年1月に着任した。
「内視鏡治療の進化は目覚ましく、 2016年以降は胃がんの外科手術件数を内視鏡治療件数が上回っています。高齢化もあり、当科では患者さんの治療後のQOLなどを総合的に判断して、身体への負担が少ない内視鏡による検査と治療に特化した診療を提供しています」と語る。
進行が早い消化器のがんは早期発見・早期治療が鉄則となる。そのため同科では、病変発見をサポートする人工知能(AI)搭載の新型機器をいち早く導入し、熟練した医師の診断とともに見落とすリスクを低減。さらに光デジタル技術のNBIとズーム機能を組み合わせたNBI拡大観察などを駆使して診断の精度向上を図っている。
発見されたがんには、内視鏡から電気メスを出して病変を切除する「内視鏡的粘膜下層剥離術」(ESD)を実施しており、病変を取り除くのも特徴。また、札幌医科大消化器内科学講座と連携して肝臓や胆嚢、膵臓などの外来も開設している。
25年4月には同法人の新病院「カレス記念病院」(東区北6東3)が開業予定。田沼部長は、新施設の消化器内科の統括も担当する。
「新病院では内視鏡室を4室に倍増するほか、検査を抵抗無く受けてもらえるよう、リラックスした雰囲気を整える構想です。消化器がんの予防と早期発見・早期治療という当科の目標に向け、質の高いハイクオリティセンターを目指していきます」と田沼部長。