今振り返る、私の思い出紀行 第五回 一般社団法人北海道空手道 協会「丈夫塾」代表理事 宮地 政樹氏
強烈に印象に残ったアメリカ・シカゴでの空手選手権大会
「フルコンタクト空手」とは、実際に直接打撃する空手の競技です。今ではヨーロッパやロシアをはじめ、全世界に競技人口が広まっていて、オリンピック種目化を目指し海外での国際大会も盛んです。どこの国でも日本流に両手を前で交差する「オス(押忍)」という挨拶が共通しています。
私は全日本組織の指導者、公認審判の立場から、国内に限らず選手を引率して海外での大会に出向く機会が多くあります。ここ数年で強く印象に残っているのは2019年にアメリカ・シカゴで開かれた「アメリカ国際極真空手選手権大会」です。会場はラサール学院大学のスポーツホールで、日本からは階級別に選手18人が参加しました。私自身、それまでアメリカに行ったのはハワイだけで、本土での大会はこのシカゴが初めてでした。
この大会では日本選手はいずれも好成績を収め、軽量級、重量級のチャンピオンをはじめ多くの優秀成績者が出て、引率者として何とか責任を果たせました。
また、試合当日になって主催者側から審判を依頼され、急ではありましたが無事に務めを果たすことができ、お誉めの言葉をいただいたのも思い出に残っています。
大会終了後は、わずかでしたが旅行前から計画していたプライベートタイムを楽しむことができました。
それはアメリカ五大湖の一つであるミシガン湖畔で、ブルースを聴きながら食事を楽しむというひと時です。ブルースは宗教歌の一つで、発祥のアメリカ南部から北上して「シカゴ・ブルース」として定着し、のちにはロックにも派生した民族音楽です。若い頃からブルースに魅かれ、機会があればぜひ本場で耳を傾けたいと願っていました。それがシカゴでの大会ということでチャンスが訪れ、事前に現地の通訳を手配して希望を伝えておいたのです。
このレストラン「ハウスオブ・ブルース」ではさまざまなブルースを聴かせてくれたのですが、この時は黒人霊歌をルーツとするゴスペルが中心でした。短い時間でしたが長年の願いが叶い、レコードやCDとはひと味違う本物の曲の流れに包まれました。シンガーたちの声量のすごさと、ノリの良さに圧倒されました。
冒頭に記したようにフルコンタクト空手の競技人口は今や柔道を追い抜くほどに増えています。目標はやはりオリンピック種目となることで、国内ではすでに文部科学大臣杯が授与される大会もあって、年々認知度も高まっています。
23年秋に機会があって、総理大臣官邸に岸田文雄首相を訪問。我々の希望を伝え、ご支援をお願いしました。首相からも支援・協力する旨の言葉をいただきました。今後も世界各地を訪れて実現への努力を続けてまいります。