さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック
乳がんの初期症状を周知し、早期検診の重要性を強調
「乳がんの新規患者数は、2021年で女性の9人に1人が発症する計算で年間9万9400人です」と話すのは「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」の亀田博院長だ。
01年10月の開業以来、20年以上にわたり道民の乳がんや甲状腺疾患の早期発見と治療に努めてきた。
「BRCA 1/2変異によるHBOC(乳がん卵巣がん症候群)など遺伝性のものも知られていますが、戦後に患者数が増加したのは食生活の欧米化も1つの原因です。高脂肪、高タンパク食、喫煙などが考えられます」と亀田院長。
21年の乳がん年間死亡者数は約1万5000人だが、ステージ1の10年生存率は95%以上のため、早期発見が望まれる。
亀田院長は「痛みで来院のケースが多いのですが、初期の自覚症状はほぼありません。乳がんは40代以降で多く、ホルモン受容体陽性の乳がんが増加しています。女性ホルモンのエストロゲンに長期間曝されると発症しやすく『月経が早かった』『閉経が遅い』『妊娠や授乳をしなかった』という人は要注意です。乳頭から古くなった血など分泌物が出るケースも細胞診検査が必要です」と警鐘を鳴らす。一方、透明、白色、黄色の分泌物は様子を見て問題ない。
亀田院長は日本乳癌学会の乳腺専門医で、アメリカ臨床腫瘍学会にも所属。常に新しい医療情報を入手している。「欧米では患者数が増加していますが死亡率は減少しています。乳がん検診率が日本では25~30%なのに対して、米国では70~80%と高いためです」と話し、検診の重要性を強調する。
検査は、国の判断で触診は不要。マンモグラフィーとエコー機器の併用で乳がん発見率は1.5倍になっている。がんの広がりをみるためにMRI、遠隔転移が想定される場合にはPET‐CTも活用する。
「一時はコロナ禍で検診が減少し、進行がんが増えました。当院では女性の検査技師を増やすなど女性が通院しやすい環境を整えています。2年に1回の検診を欠かさないでほしい」と亀田院長。