みやざき外科・ヘルニアクリニック
鼠径部ヘルニアや下肢静脈瘤など日帰り手術で9061例
鼠径部ヘルニアなどの日帰り手術をおこなう道内でも数少ない存在。日本ヘルニア学会の理事も務める宮崎恭介院長が、2003年4月の開業から20年でおこなった日帰り手術は9061例に上る。このうち成人鼠径ヘルニアは7821例。年間の平均執刀数は約450例(22年12月末現在)だ。
鼠径部ヘルニア(脱腸)は、腹腔内にある腸や脂肪組織などの一部が脚の付け根あたり(鼠径部)から腹腔外に突出する疾患。原因は加齢などで筋膜が弱くなることで、50代以降の男性に多く国内では年間14〜16万人が発症する。
元々鼠径部には筋肉がなく、薄い筋膜で覆われているため腸が突出しやすい部位とされており、飛び出す場所によって外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類に大別される。
初期症状では、鼠径部が膨らむ程度のため放置する人も多い。痛みがない場合は日常生活に支障はないが、便秘や膨満感、血流障害などを起こすこともあり根治には手術が必要となる。宮崎院長は「高齢化の影響で患者数は増加しいるが、欧米では日帰り手術が主流です」と語る。
宮崎院長が行う「メッシュシートによる鼠径部ヘルニア修復術」は、ポリプロピレン製の網目状シートでヘルニアの出口とその周辺を広く覆う術式。性別や年齢、ヘルニアの大きさや種類に合わせて7種類のシートを使い分ける。鼠径部ヘルニアに特化して実績を重ねているため低侵襲技術に熟練しており、例えば心筋梗塞といった抗血栓症の治療薬を服用する患者は通常、手術時の出血を抑えるために服用を控えるが、同院では服用が可能。血栓症の危険も回避できるわけだ。
日帰り手術のスケジュールは、午前9時半頃から開始し、通常約1時間半で終了。術後は回復室で休憩し、午後3時のバイタルチェックで異常がなければ退院となる。
このほか宮崎院長は、臍ヘルニアや下肢静脈瘤などに対しても日帰り手術で対応。院内の滞在時間が短く、他の患者と接しないよう留意するなどプライバシーや感染症対策にも配慮。診察はオンラインでも対応している。