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みやざき外科・ヘルニアクリニック

宮崎 恭介 院長
みやざき・きょうすけ/1966年生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。愛育病院、北海道大学病院、手稲渓仁会病院外科などに勤務。97年北大医学部大学院修了。2003年4月開院。日本ヘルニア学会理事、聖マリアンナ医科大学臨床教授、日本外科学会外科専門医。

鼠径部ヘルニアなどへの日帰り手術実績が1万例に迫る

 2003年にJRタワー開業とともに開院して21年。この間、一貫して手掛けてきた日帰り手術の実績は9459例(23年12月末時点)で、年平均執刀数は450例。来年にも1万症例に到達するペースだ。

 執刀実績の約85%を占める8194例が成人鼠径部ヘルニアで、小児鼠径部ヘルニアは328例。このほか臍ヘルニア(175例)や下肢静脈瘤(669例)などに対しても日帰り手術で対応する。

 鼠径部ヘルニアは、鼠径部(足の付け根)から腹腔内にある腸や脂肪組織などが突出する疾患だ。鼠径部は元々筋肉がなく薄い筋膜で覆われているが、加齢などで弱くなり発症する。このため50代以降の男性に多く、国内では年間14〜16万人が発症するといわれている。

 宮崎恭介院長は「初期症状は鼠径部が膨らむ程度で痛みもなく、日常生活に支障がないため放置するケースが多い。症状が進むと便秘や膨満感、血流障害などに発展し、根治を目指す場合は唯一、手術が適用になります」と語る。

 宮崎院長が開院当初から導入する鼠径部切開法は、1990年代に確立された術式。ポリプロピレンまたはポリエステル製の網目状シートでヘルニアの出口とその周辺を広く覆う「メッシュシートによる鼠径部ヘルニア修復術」で、欧米では日帰りが主流となっている。

 性別や年齢、ヘルニアの大きさや種類に合わせて6種類のシートを使い分けるが、宮崎院長はこの術式に特化して実績を重ね、傷口が小さい低侵襲技術を習得しているのも大きな特徴。術中の出血も少ないため、例えば脳梗塞や心筋梗塞などの既往歴がある患者に対しても、常用する抗血栓治療薬の服用も可能なので、手術前後の血栓症の危険も回避できる。

 日帰り手術のスケジュールは、午前9時に来院、9時30分頃に手術を開始し約1時間で終了。11時には水と食事を摂取して回復室で休憩。午後3時の術後診療バイタルチェックで異常がなければ帰宅となる。

 宮崎院長は「これまで全国から患者さんが日帰り手術を求めて来院してきました。これからもさらに手術の精度を高めて、患者の負担を減らせるよう極めていきたい」と意欲的に語る。

低侵襲で患者の負担も少ない
ポリエステル製のメッシュシートで鼠径部を広く覆うことで、腸の突出を防ぐ