北星学園大学・北星学園大学短期大学部
学びを通じて他者の幸福を願い、平等を実現する人を育む
――学科を再編しました。
大坊 今年度は社会福祉学部の福祉計画学科と福祉臨床学科を統合発展させて「社会福祉学科」を新設しました。SDGsをコンセプトとしています。本学では心理的なケアから社会学、法制や政策まで総合的に幅広く学ぶことができ、それをより全面に打ち出しています。福祉心理学科も福祉だけではなく心理学の基礎から臨床まで総合的に学べるため「心理学科」と名称変更しました。
SDGsに類似するもので、ウェルビーイング(心身共に健康で社会的に満たされた状態)という考え方がありますが、これを実現するための学びを提供します。
――入試状況は。
大坊 オープンキャンパスでは高校生の関心が高く参加率が良かった。受験者数も定員を大きく超えた応募があり競争率が上がりました。4大の学部全体でも定員を超えました。今年も盛況でオープンキャンパスでは在学生が各学科の説明を行って高校生に先輩たちの生の声を届けることができました。
――短大については。
大坊 2年間の学びということに対する関心がやや薄れたのか、入学者が減少傾向にあります。今は、次のステージを検討しているところです。ただ、短大に入学した学生に聞くと「何をしたいか決められないので、まず2年間やってみて考える」という声がありました。
実際に短大の英文学科の学生は卒業後に4大の英文学科の3年次に編入するケースが多くなっています。同じく生活創造学科も4大の福祉や心理、経済に進むケースが目立ちます。もちろん他大学への編入もあります。短大は2年間で集中して自分の向き不向きを見つめ直すことができる良いシステムだと感じています。特に北海道は大学進学率が全国に比べ低めなので、まだまだ短大のニーズはあると考えています。
――就職状況は。
大坊 4大卒は正社員などフルタイムのみでも約96%と高い数値ですが、短大は2年生の4分の1ほどが4大に編入し、かつ就職率は100%です。
――国家資格の取得状況は。
大坊 本学は1962年の創立時にすでに社会福祉学科を設置していました。いわば道内における社会福祉学や心理学の老舗といえます。こうしたこともあり、社会福祉士の合格者数は20年連続で全道1位です。精神保健福祉士の合格者も毎年全道トップクラスです。
また、道立高校の英語教員は本学の英文学科卒業生が最も多い。これは外国人教員の割合が12%弱と私学では道内1位の比率であることに加え、短大や4大でオールイングリッシュの授業がいくつもあることが要因と考えられます。
心理学科では新しい国家資格である「公認心理師」の取得に向けたカリキュラムも対応しています。
――データサイエンス授業にも力を入れています。
大坊 データの活用はいまや理数系大学だけのものではありません。本学のような人文社会系大学でも経営情報や経済、心理学は統計を使うんですよね。全学科で授業を取れるようにしていきます。一部は必修にする予定です。
――貴学の考える人間力とは。
大坊 SDGsには「誰も残さないで、それぞれが満足できる生活ができるように」という意味合いがある。これは当法人の創立者であるサラ・スミス先生の時代から教育の根幹においてきた考え方に近い。プロテスタントのキリスト教主義に基づいたヒューマニティです。近年は一部のリーダーに、自分の国や自民族中心主義が広がっています。どこかが豊かになって、他がその分マイナスになったら、地球や人類としてはウェルビーイングではないと考えています。単純な知識の運用ではなくて「創造的な学びができて、それを実際に自分と周りの人に生かしていける」と、こういう考えをもった人材を育成していきたい。
――今後について。
大坊 コロナが明けて、社会貢献としての学校施設開放ができるようになった。休止していた本学のチャペルコンサートを復活させ、大学図書館も地域住民が使えるようにしました。
留学生の送り出しはもちろん、海外からの受け入れもできるようになり、生活の場となる「kirari」尞では、現在は約30人の留学生が暮らしています。外国語に対応した職員の強化にも取り組んでいきたい。
また、本学は日本の大学では2番目の早さでフェアトレード認証を取得しています。発展途上国で生産される製品の公平な取引を目指すもので、SDGsの実現にも関わる。大学がプラットホームとなって発信していきます。