日本医療大学
地域に開かれたキャンパスで、共生社会を実現する医療人を
――今年度始まった取り組みを教えてください。
島本 今年4月から「学生が誇れる日本医療大学を目指します」をスローガンに掲げ、「国家資格取得100%」「学生ファースト」など5項目に取り組みます。具体的には「学修支援体制の確立」と「キャリア支援体制の充実」が中心になります。
その一貫としてリメディアル教育をカリキュラムに本格的に取り入れました。本学の教育の基礎となる生物、化学、物理、数学のうち高校時代に受講していない、あるいは学習不十分な科目を学科ごとに必要な項目や入門的な部分を中心に教えていきます。予備校の講師などを招き、学生さんからもわかりやすいとアンケートでも評判がいい。
――新しい学科ができました。
島本 通信教育部総合福祉学部ソーシャルワーク学科を設置しました。道内で唯一の福祉系通信制を有する大学となり、社会福祉士と精神保健福祉士の2つの国家資格の受験資格が取得可能です。テキストとeラーニングに加え、オンデマンド学習に力を入れており、学生が24時間いつでも学べる環境を構築しています。
――入学状況を教えてください。
島本 保健医療学部は定員に対して96%の充足率です。総合福祉部がやや苦戦しています。コロナで海外からの留学生が来られなくなってしまったほか、学生のニーズの低下が考えられます。現在は日本中で介護福祉士、社会福祉士を育成する大学が定数を減らしている。しかし社会からのニーズは多い。病院や介護施設から、特に介護福祉士が足りなくて困っているという声が聞かれます。総合福祉部は、さまざまな手段を講じながら定数を確保していきたいです。
――具体的には。
島本 来年から「日本福祉人材育成特待生制度」を導入します。これまでは優秀な成績を持って入学した者の授業料を1年次の1/2相当額を給付していましたが、それを出来るだけ多くの学生に拡大し、最大で在学4年間の授業料をゼロにします。もちろん本学の持ち出しになりますから大変な負担です。人を育て、還元するのが社会的使命だと考えてやっていきたい。
――国家試験の合格率も高い。
島本 看護学科の看護師合格率は92%、診療放射線学科の診療放射線技師合格率は93%と高い数字です。リハビリテーション学科では、理学療法士が93%、作業療法士が88%の合格率で学科全体では90%になり、全国平均の数字です。さらに就職状況も100%となっています。
――貴学の考える人間力とは。
島本 本学は医療・福祉系の大学ですから、まずは国家資格が取れるような力、知識や技術を持っている人材です。それに加えて、建学の精神である「共生社会の実現」を実行できる力です。精神的なものも含めて〝バリアフリーな社会〟を目指すために、人としてのマナーや礼儀を備え、自身の人格を磨きながら、患者や高齢者など弱い人と向き合える医療人に育てています。
医療人としては、チーム医療を実践できる人材にこだわっています。本学には医療・福祉分野で5学科が揃う全国でも希な大学です。さらに月寒本キャンパスには「日本医療大学病院」や「介護老人保健施設 ノテ日本医療大学リハビリ」があり、教育と現場が隣接する環境で、チーム医療の良い実習の場になっています。これからの人材育成においても有効な手段になると考えています。
――来年以降の動きを。
島本 今年3月に文部科学省に対して大学院の設置申請を行いました。順調に進めば来年度から大学院を開設します。また、学部の充足率の向上や今年からスタートしたリメディアル教育を改善し、学生のためになる充実した教育やカリキュラムを組んでいきます。
――地域と連携したイベントが多いです。
島本 一昨年の月寒本キャンパス開設を契機に、地域と一緒に町おこしを担っていくことも大学の大きな目標にしています。
例えば月寒町内会を中心に、月1回「生涯学習講座」を開講しています。教員が地元の方に健康講演を行うなど、地域の健康づくりに関わっています。
また、コロナワクチン対応では、3000人に接種を行いましたが、学生や教職員以外にも利用を促して、1600人は地域住民の方が接種され、大変喜ばれました。
――昨年第一回となった「日医大フェス」が大盛況でした。
島本 地域に密着した地元との交流の場とすべく新たにスタートしました。従来の大学祭は学生を中心に親、その友達を対象としたもので来場者は2~300人程度でした。昨年は3000人を見込んでいましたが、最終的には想定を大幅に超える4800人の来場がありました。
今年は6月17日に開催します。日本医療大学病院では、骨粗しょう症検査など無料の健康検査を行います。先着で人数制限などを設けていますので、安心してご来場ください。