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北海道医療大学

浅香 正博 学長
(あさか・まさひろ)北海道大学医学部卒業。 同大医学部第三内科教授、北海道大学病院院長、同大大学院医学研究科がん予防内科学講座特任教授などを歴任。2015年10月より北海道医療大学副学長として着任。16年4月より学長に就任。医学博士。

医療の進化や社会の変化に対応できる人材を輩出する

――コロナが落ち着き始めた中、学生の変化は感じていますか。

浅香 講義に関しては全面的に対面授業にしましたが、学生に大きな変化があるようには感じていません。

一方で、3年間活動を休止していたクラブ活動が再開になりました。それによって学生の生活にも変化が出てくることを期待しています。本学にはよさこいの名門チームがありますが、メンバーのほとんどがコロナの影響で辞めてしまっており、ゼロからのスタートになりそうです。学生の活動が活発化するきっかけになるように期待しています。

――カリキュラムや学科などで大きく変更したことはありますか。

浅香 コロナ明けで先が読めない状態ですから、大きな変更は考えておりません。

ただ、授業ではオンラインの活用が定着したこともあり、対面授業とのハイブリッドが浸透してきています。対面授業でも、テキストを事前に配付して授業に集中させるなど、オンライン授業のいいところを取り入れたり、授業の形態は変化していると見ています。

――文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の実施機関に採択されました。

浅香 デジタル技術を積極的に取り入れる環境を整備することが目的です。北海道の私大で唯一採択されました。情報ネットワーク基盤と講義室メディア機器の拡充などを行い、誰もがいつでもどこでもAIを活用できるように取り組んでいます。

この春に具体的な取り組み内容が形になっており、秋からの実施に向けてさらに詳細を詰めているところです。医療分野では、病気の早期発見や治療の最適化、新薬の開発、画像診断のサポートなどでビッグデータやAIの活用が拡大しています。これからの医療を担う人材には、デジタル化とAIの併用は欠かせないもので、他大学に先駆けて進むことで差別化を図っていきたいと考えています。

急速に活用が広がるチャットGPTなどの生成AIについても、基準をしっかり作った上で応用できないか検討しています。

――就職率も相変わらず高い水準と聞きました。

浅香 どの学部も高い水準を保っています。社会の変化に左右されない医療系総合大学の強みを生かせていると思っています。各学部で取り組んでいる国家試験対策は大きな成果を上げており、合格率も高い水準を維持しています。看護学科と理学療法学科では合格率が100%に達し、その他の大部分の学科でも全国平均を上回る結果となりました。

また、4年前に新設した医療技術学部臨床検査学科の学生が初めての国家試験を迎えました。本学の取り組みへの評価ともなることから、結果に注目していましたが、

臨床検査技師の合格率は約96%となりました。道内の国立大学よりも20%近く高い合格率で、全国でもトップクラス。素晴らしい成果を上げられて、今後の展開にも弾みがついたと感じています。

――今後の課題は。

浅香 4年制の学部はあまり心配していないのですが、歯学部と薬学部は全国的にも進学希望者が低調で、定員割れの大学も多く出ています。本学でも、首都圏や関西圏などからの学生をより積極的に迎え入れようと注力しています。

また、同学部には韓国や台湾などの入学希望者も増えていることから、門戸をさらに広げていきたいと考えています。医療の領域はグローバル化が進んでいますので、多様な人材と協力して困難に立ち向かうための基礎を本学で学んでほしいとも思っています。

――これからは、どのような〝人間力〟を持った人材が必要になると考えていますか。

浅香 医療系の総合大学として、現代医療に貢献する人材を輩出するという大きな理念は、コロナ前もコロナ後も変わりません。しかし、ここ数年は老衰で亡くなる方が増えており、昔のように急性期病院で全てを担うという時代ではなく、慢性期病院、クリニック、在宅、介護といったあらゆる施設が連携して1人の人間を診ていくことが重要です。本学のように、多くの職種の医療系人材を輩出する大学の存在感はますます高くなると考えています。

また、医学だけではなくAIやVRなど医学にまつわる技術の進化スピードも早くなってきています。そのため他職種の人たちと連携を密にし、さまざまな変化に臆せずに対応できる人材が求められていると感じています。こうした人材を輩出することで、これからも北海道の医療に貢献していきたいと思っています。

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