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ヤブシタホールディングス

働きやすさを重視し、女性も多く勤務する

空調機の部材でトップシェア。〝社員が1番〟で成長

大手企業からの信頼で年商60億円に到達

空調機や冷熱関連製品の部材メーカーとして全国トップシェアを誇る「ヤブシタ」グループ。母体は1963年に函館市で創業した機械商社「薮下機械店」。99年に札幌市に進出して以降は、自社で施工も手掛けている。

「ヤブシタホールディングス」を筆頭に設計から製造、施工、メンテナンスまでをグループ14社で手掛け、各社で人材を募集している。

主力商品は室外機用のカバー。防雪フードや排熱対策のサンシェード、防音システム、遮音パネルなどは、空調機本体の性能を維持し故障を防ぐほか、熱や騒音、振動といった生活環境の向上にも貢献する。

また、これらの商品は現場での効率や安全性も重視しており、取り付けの簡便さが他社の職人からも支持を集めている。全国規模で需要が拡大中だ。

近年はメーカーとしての存在感が高まっており、将来性も高い。創業60周年となる2023年度には過去最高となる年商60億円を見込む。

陣頭指揮を執る森忠裕社長は08年の入社。創業家から事業を引き継ぎ、現在はオーナー社長として150人のグループ従業員を率いる。 

特に人材の採用と育成に注力しており、毎年定期採用を継続。今春は新卒5人と中途1人が入社した。

「社員が〝私たちを大切にしてくれている〟と思える環境でなければ、お客さまを大切にできない。〝社員が1番、お客様が2番〟が信念です」と森社長。

教育・研修制度を充実させ、入社3年間は継続的なフォローが受けられる。

また「責任ではなく役割を与えることこそが重要」(森社長)と、入社5年後を目安に個人が希望する部署へのジョブローテーションを実施する。

これは若手社員が「やりたいこと」と「向いていること」のギャップで退職するケースや、業務がルーティン化することで社員の成長が止まってしまうのを防ぐのが狙い。

「エース級の営業職を技術職に異動させることもあります。短期的に売り上げが落ち込むといったリスクはありますが、幅広い視野を身に付けさせることは、社員の成長を支援し、ひいてはお客さまのためになる人材に育つと考えています」と森社長。

新規事業も立ちあげた。インバウンド市場を開拓し、若手がさらに活躍できるフィールドを提供するために〝和モダン〟をテーマに金属加工の技術を生かしたインテリアや家具を製造する。格子柄や着物生地を用いているのが特徴で、同製品のショールームとして物件を取得。200畳の和室に改装している。

初任給28万円を実現。本州並みの高水準に

社員に寄り添う会社を目指し、働き方の多様化に則した制度づくりにも取り組む。

給与は23年4月からベースアップを実施。大卒初任給は、本州大手並みの総支給額28万円(地域限定社員が25万円)とした。

福利厚生も手厚い。特に子育て世代が働きやすいように「社内託児所」を設けている。親が子どもの様子を見ながら働けるよう、託児スペースは職場と同じフロアにした。

「個室にせず壁も無いため、子どもがオフィス内を自由に走り回ることもできます。その笑い声は職場の癒やしになっている」と森社長。

また、保育士も共に働く仲間と考え、外に委託することなく、自社の社員として雇用している。

「個人のスケジュール管理能力を養う」との観点から、一部の福利厚生は就業時間内に受けられる。社内にはシミュレーター(トラックマン)を備えた本格的なゴルフ練習室があり、週3回女子プロを講師に迎えマンツーマンのレッスンも受けられる。

同様に書道家の内海秀翠氏を講師に招いた書道教室も月1回開催しており、ミャンマーからの技能実習生にも人気だ。

さらに「成長のためには環境の変化も大切」(森社長)と考え、北見市柏陽町の「KIT FRONT」にサテライトオフィスを構えた。

管理部門など業務内で異動が少ない従業員が数カ月滞在し、環境やコミュニティを変化させることで社員の成長につなげている。北見工業大学が目の前にあるため、インターンシップにも利用できる。

24年には東京都の八丈島にもサテライトオフィスを設置予定で、仕事と余暇を両立するワーケーションなどに用いる。

 


 

■設計課
手小 涼太さん

入社5年目です。室蘭工業大学在学中に森社長の話を聞く機会があり、またインターンとして3日間社長に同行する機会を得ました。その熱意や人柄に惹かれて入社しました。社長はもちろん幹部との距離も近いです。常務とは週報をやりとりして、欠かさずコメントを書いて頂けます。給与面はもちろん、研修も充実しているので成長できる環境が整っています。

 


 

■設計課
木暮 真央さん

年功序列もなく、若い人の意見を取り入れてくれる会社です。例えば託児所は、2歳になる息子の有彩橙(ゆいと)と通勤しています。壁などが無いので常に成長を見守ることができます。保育士さんだけでなく、同僚たちも一緒に遊んでくれるので人見知りしない子に育っています。また自社農園があり、収穫時期は子どもと一緒に土いじりができるのも魅力です。

エントランスは宇宙船をイメージした
IT企業のようなおしゃれなオフィス
「今後は和モダンをテーマにした家具やインテリアも製造して
いきます」と森忠裕社長
オフィスと同じ空間に託児所を設置
和室の休憩室もあり、社員の憩いの場となっている