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ヤブシタが組子細工の建材販売に参入。九州を視察

組子職人の木下正人代表

冷熱設備メーカーのヤブシタ(本社・札幌市、森忠裕社長)が、伝統工芸「組子細工」の建材販売に乗り出す。5月30日から主に工務店用建材を受注生産する。

組子細工は、くぎを使わずに小さな木を組み合わせて複雑な幾何学模様をつくる伝統工芸。欄干やふすま、照明器具などに用いられ、近年は〝和モダン〟の人気で、飲食店や一般住宅でも組子を取り入れるケースが増えている。しかし、多くは建具会社が兼業で制作したもので、デザインも簡易で画一的だ。そこでヤブシタは、主に工務店向けに建材を完全受注生産し、組子細工の販売に乗り出す。

「製造は福岡県大川市の『木下木芸』に委託します。木下正人代表は国内でも希少な組子専門の職人で、JR九州の豪華寝台列車『ななつ星in九州』や『或る列車』の車内装飾を手掛けた。JR北海道が運行予定の『赤い星』『青い星』にも携わる」と森忠裕社長。

木下代表は一般からの依頼はほとんど受けていないが「本物の組子の良さを伝えたいという森社長の熱意と人柄を信頼した」(木下代表)と協力を快諾した。

4月にはヤブシタの担当者が九州を訪れ、2日間にわたり木の産地や部位選びの重要性、デザインが緻密な計算によって成り立つことなどを学んだ。

同社では、5月30日に全国の伝統工芸品を集めた「和モダンN6北円山」(札幌市中央区)をグランドオープン。組子細工の展示と受注を開始する。

大川市の木下木芸を訪問し作業を見学した