札幌徳洲会病院
IBDの研究・治療に実績。豊富な知識で患者をサポート
原因不明の慢性疾患である炎症性腸疾患(IBD)は下痢、血便が続く国指定の難病。この疾患に対し専門的医療を提供しているのが「札幌徳洲会病院」の蘆田知史副院長だ。
30年以上、IBDの治療と研究に携わっており、2014年からは同院のIBDセンター長も兼務している。道内でIBDを専門とした医療部門を持つ病院は珍しく、全国的にも希少な存在と言えよう。
蘆田副院長は「IBDには『潰瘍性大腸炎』と『クローン病』があり、適切な治療により通常の生活はできますが、現在のところ根治することはないとされています。命を落とすことはほぼありませんが、出血による貧血などで日常生活に大きな影響が出るのが特徴です」と話す。
詳しい原因は解明されていないが、腸管に存在する免疫システムが腸内細菌に対して、過剰に反応しているということが分かっている。
「治療法や治療の進め方については厚生労働省から指針が示されています。病院や医師による大きな違いはない」と蘆田副院長は話すが、薬剤の選択には医師の知識と経験が不可欠。加えて、患者は日常生活をしながら治療を行わなければならない。
その点、蘆田副院長は旭川医大病院で准教授としてIBDを専門に診てきた実績を持つ。外来患者を受け持つ傍ら、薬の効果予測や原因因子、免疫力との関わりを研究してきた。患者の生活支援にも尽力している。
また、徳洲会グループではMRIを使った小腸造影手法開発し、内視鏡やバリウムを使わずに検査を可能にした。腸管の炎症の程度が通常のエコー検査で推定でき、治療効果の判定速度向上にもつなげている。
IBD治療には多様な医療スタッフの協力が必要となるが、同院では蘆田副院長を筆頭に看護師や管理栄養士など、チームでサポート。こうした体制も患者から厚い信頼を寄せられる要因だ。
「ここ数年、研究や治療薬の開発が活発に行われています。1990年代に胃潰瘍の原因が明らかになり、治らない病気ではなくなったように、IBDもその道をたどっている途中だと思っています」と蘆田副院長は語る。