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札幌徳洲会病院

蘆田 知史 副院長
あしだ・としふみ/1983年旭川医科大学医学部卒業。旭川医科大学医学部附属病院、札幌東徳洲会病院勤務を経て、2014年札幌徳洲会病院副院長に就任。医学博士。

30年以上IBDを研究・治療。患者の生活支援も

 国が指定する難病のなかでも、患者数が多いとされる炎症性腸疾患(IBD)。下痢や血便が続く原因不明の慢性疾患で、「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2つに分類される。腸内細菌に対して免疫システムが過剰に反応していることが要因の1つとされ、高校生などの若年層が罹患するケースも多い。

「ここ20年で患者さんは5倍に増えている」と話すのは「札幌徳洲会病院」の蘆田知史副院長。

 同院では全国でも珍しいIBD専門の医療部門を設置しており、センター長を兼務するのが蘆田副院長だ。旭川医大病院准教授時代から30年以上にわたり、IBDを専門に研究・治療を続けてきた。薬の効果予測や原因因子、免疫力との関わりなどの研究や患者の治療ほか、生活支援にも力を注いでいる。

 IBDは死に至るような疾患ではないが、厚生労働省のガイドラインに沿った適切な治療が不可欠。通常の生活はできても、貧血などでQOLが低下する症例もあるからだ。

「国内では治療薬の開発が進んでおり、治療成績は良好です。2020年以降は複数の治療薬が保険適用となりました。潰瘍性大腸炎の場合、9割の患者さんは入院の必要がなく、治療薬の服用によって日常的な生活ができます。クローン病は、1年以内に6割程度の患者さんの潰瘍が治癒しています。以前は、5年の罹患期間で患者の3割が手術が必要でしたが、今は半分の15%程度です」と蘆田副院長。

 治療薬の選択肢が増えたことで、医師の診断力がより重要になった。患者の状態や進行具合などを見極め、適切な治療薬を選ぶことが治療成績につながるからだ。同院では内視鏡の所見や臨床症状、経過観察により、慎重に治療薬を選択している。

 検査では、血液検査やレントゲンのほか、エコーやMRI、CTなどを駆使。徳洲会グループでは、MRIを使った小腸造影手法を開発し、内視鏡やバリウムを使わない検査も実施する。蘆田副院長を筆頭に、看護師や管理栄養士といったチームで治療するのも特徴だ。

「下痢や腹痛が徐々に悪化していくのが特徴的な症状。自然に良くなることはないので、腹痛が長く続いているようなら、まずはかかりつけ医に相談してほしい」と蘆田副院長。

厚別区を中心に地域医療を提供
潰瘍性大腸炎の治療前